【吉原炎上】

映画【吉原炎上】「噛んでここ噛んで~!」ここてどこ?あらすじと観た感想

1987年/日本/監督:五社英雄/出演:名取裕子、二宮さよ子、藤真利子、西川峰子、かたせ梨乃、根津甚八、小林稔侍、竹中直人、緒形拳

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

【吉原炎上】
©吉原炎上より引用

東京吉原遊郭を舞台に、そこで生きる女郎たちの運命を描いた重厚なドラマ。

明治40年から始まり、明治44年に実際に起こった吉原大火までを描きます。

物語は毎年季節で区切られていて、全編を通しての主人公は上田久乃(名取裕子)ですが、各章ごとにひとりずつ久乃以外の女郎にスポットが当たる構成になっています。

美しいですよ。

吉原遊郭の女郎たちも、明治日本の春夏秋冬も、赤を効果的に使った映像も美しい。

年季が明けるまで遊郭で働き続ける他に生きる術がない女郎たちの生き様も見応えあります。吉原という閉ざされた世界の中で生きる女郎たちの現実がどれだけ厳しいものであったか痛感されられますしね。

 

良い映画です。

 

素晴らしい映画なんです。

 

でも視聴後脳裏に焼き付いてるのは「噛んでここ噛んで~!」だけなんですよ申し訳ないけども。

朱縫shuhou

朱縫shuhou

(強烈すぎるわ西川峰子…)

【吉原炎上】です。

 

映画【吉原炎上】のあらすじザックリ

久乃は明治の終わり、1907年(明治40年)に吉原の中梅楼に遊女として売られた。そこでは借金に縛られた女たちが六年の年季が明けるまで春をひさいでいた。生まれては苦界、死しては投げ込み寺の世界を生き抜いた女郎と生き抜けなかった女郎の波乱万丈の世界を描いた作品である。

明治40年:春

桜の花咲く春のある日。漁師の父親を亡くし岡山から吉原へ売られてきたおぼこい少女。彼女の名は上田久乃(名取裕子)。

久乃が働くことになるのは煌びやかな吉原の中でもひと際大きな見世「中梅楼なかうめろう」。

【吉原炎上】
©吉原炎上より引用

ここの御職おしょく(その見世で一番売れっ子の花魁のこと)は九重(二宮さよ子)で、春の章では彼女にスポットが当たります。

冒頭に書いたとおり、【吉原炎上】は二番手花魁の吉里(藤真利子)が夏、三番手の小花(西川峰子)が秋、久乃と仲良くなる菊川(かたせ梨乃)が冬、といった具合に、各季節ごとのヒロインの生き様を描きながら久乃の成長と明治晩年の吉原遊郭で生きる女郎たちの生活を描いた映画です。

【吉原炎上】
©吉原炎上より引用

 

春の章の見どころはなんと言っても久乃と九重のレズビアンシーンでしょうよ。

中梅楼でしばらく下働きをした久乃は「若汐」という源氏名を与えられ、いよいよ女郎デビューすることになります。

【吉原炎上】
©吉原炎上より引用

ところがデビュー初日、ビビった若汐は部屋に客をほっぽり出して逃げ出してしまうんですね。

この時、中梅楼の従業員に追われる若汐を助けようとしたのが、のちに若汐と深いかかわりを持つことになる古島(根津甚八)なんですけど、彼についてはまたのちほど。

でね。

健闘空しく中梅楼に連れ戻された可哀想な若汐は、布団で簀巻きにされて折檻部屋に転がされるんです。

そこへ現れたのが若汐が吉原へやって来た時から目をかけて何かと世話を焼いてくれていた九重姉さんだったわけですよ。

【吉原炎上】
©吉原炎上より引用
九重

私の顔に泥塗りやがって!

これから私が中梅楼御職の名にかけて、あんたに「男の悦ばせ方」叩き込んだるわ!

てな次第で、

【吉原炎上】
©吉原炎上より引用

こうですわ。

 

ここでなんと九重姉さん、ド素人の若汐に昇天させられてしまうんですけども。

九重はその後借金を完済して吉原を去る時に、捨て台詞でこんなことを言っています。

九重

…あの子はすごい子だよ…(ふっ)

まあねえ、ド素人の若汐に昇天させられてましたもんねえ。

明治41年:夏

季節はめぐり翌年の夏。

デビュー初日に見世を飛び出した若汐を助けようとしてくれた古島は実は古島財閥の御曹司で、若汐を気に入り初めての馴染み客となってくれます。

【吉原炎上】
©吉原炎上より引用

いきなり財閥の御曹司が馴染みにつくなんて運の強い子だねえ~なんて言って周囲からもてはやされる若汐に「50円貸してよ」と願い出るのが夏の章のヒロイン吉里。

九重が去ったため吉里は今や中梅楼の御職ですが、しょうもない男に入れ込んでいて景気は良くないらしい。

 

夏の章の見どころは、男に捨てられやぶれかぶれのままカミソリで自分の喉を掻っ切るという壮絶な死を遂げる吉里…ではなくて、誤って吉里に殺される金魚屋のおっさん。

【吉原炎上】
©吉原炎上より引用

明治42年:秋

若汐が吉原へやってきて二年後の秋。

吉里亡きあと中梅楼の御職となったのは弟の学費を稼ぐために女郎になった小花姉さん(西川峰子)。

若汐は自分の身を犠牲にしてまで弟に尽くすそんな小花姉さんを慕っていましたが、実は数々の美談はすべて真っ赤な嘘。小花の母親は女郎、父親はどこの誰かも分からない博打うち。5歳の時に一度母親に捨てられた小花は、13~14歳になった頃突然迎えに来た母親の手で吉原へ奉公に出されたのでした。

【吉原炎上】
©吉原炎上より引用

これまでの生活がたたったのか酒の飲み過ぎか、小花は体を壊して客を取るどころじゃなくなってしまいます。

病気の小花に代わって御職に選ばれたのは、吉原の伝統ある源氏名「紫」を与えられた若汐。

病気にはなるわ紫に御職の座を奪われるわでヤケクソになって大暴れした小花は布団部屋に閉じ込められます。

それでも喀血しながら喚き散らす小花。

はいここです。

【吉原炎上】
©吉原炎上より引用
小花

ねえ!ねえ抱いてよ!誰か!

誰でもいいから抱いてよ!

噛んで!ここ噛んで!ここ噛んでよお~!

お願いだからここ噛んで~!

このシーンを観た視聴者の気持ちは紫と同じでしょう。

【吉原炎上】
©吉原炎上より引用

(あんた…あんたいったい今まで…どんな目に遭ってきたのよ…!)

明治43年:冬

病のため小花が死に、晴れて中梅楼の御職花魁となった紫の今の夢は花魁道中をすること

花魁道中ってのは今でいうパレードみたいなもんで、吉原の中でも位の高い花魁が高下駄履いて遊郭の中を練り歩くイベントです。

【吉原炎上】
©吉原炎上より引用

3年前、猫背でおどおどしながら吉原遊郭の門をくぐったあの上田久乃が、今や紫の名を襲名して威風堂々たる花魁道中ですよ。

小花姉さんの「噛んでここ噛んで」がなければ間違いなくこの花魁道中が【吉原炎上】の一番の見どころでしょう。

助手
(「噛んでここ噛んで」があってもなくても絶対見どころやろ…)

 

金も手間もかかる紫の夢を叶えてくれたのは、まだ若汐だった紫の最初の馴染みになってくれたあの古島財閥の御曹司。

さて紫にここまでしてくれる古島君ですが、なぜか紫は古島さんに愛されているとは感じなかった模様。

どうしてかって?

そりゃあ古島が女郎である紫を一度も抱かなかったからですわ。

【吉原炎上】
©吉原炎上より引用

紫自身も言ってます。「あなたは一度も私を抱いてくださらなかった」って。明治であろうと令和であろうといつまで経っても恋人と愛し合えないというのは結構ショックなものですけど、女郎にとってはなおさら屈辱的なんでしょうかね。

でもね紫、許してあげてよ。古島君イ○ポだったんだって。

「僕は空想しかできん男だ」ってイキって言ってますけどとどのつまりはイ○ポだったんですよねこの御曹司。「抱なかった」んじゃなくて「抱なかった」んですわ。

 

それにしてもイ○ポだけどお金はあるから吉原で遊ぶって贅沢な。

あー吉原に行っては女郎を抱きまくってる自分を空想して楽しんでるのか。

明治44年4月6日

「火事と喧嘩は江戸の花」なんて言いますけども、吉原遊郭も例に漏れず何度も火災の被害に遭っていたそうです。数々の火災の中でもクライマックスで描かれているのは明治44年に実際に起こった吉原大火だと思われます。

焼け落ちてゆく吉原を前に呆然と立ち尽くす紫のショットで幕を閉じる【吉原炎上】。

【吉原炎上】
©吉原炎上より引用

冬の章の見どころは川に飛び込んで難を逃れた紫の友人・菊ちゃんの「燃えちまえ~!」

【吉原炎上】
©吉原炎上より引用

映画【吉原炎上】の感想一言

朱縫shuhou

朱縫shuhou

女郎たちの抱える様々な絶望や苦悩を四季を通じて描き出す五社英雄監督の傑作。
名取裕子を始めとする出演女優の、ヌードも濡れ場も厭わない体当たりの演技にも息を飲みます。

そして西川峰子の「噛んでここ噛んで」

一度観たら忘れられない映画になること間違いなしです。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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朱縫shuhou 天衣無縫に映画をつづっている人

朱縫shuhou

「天衣無縫」と「温故知新」を信条として、主に古い洋画を好む映画好き。様々な映画を観たいのにホラーだけは怖くて観られない可哀相な初老。

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