2004年/アメリカ/監督:クリント・イーストウッド/出演:クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン、ジェイ・バルチェル、マイク・コルター/第77回アカデミー作品・監督・主演女優・助演男優賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
私、クリント・イーストウッドの監督作品は合うものと合わないものがはっきりしてます。
【許されざる者(1992)】や【パーフェクト・ワールド】は合う方。
【マディソン郡の橋】や【グラン・トリノ】や【ミリオンダラー・ベイビー】は合わない方です。
1992年/アメリカ/監督:クリント・イーストウッド/出演:クリント・イーストウッド、モーガン・フリーマン、ジーン・ハックマン、リチャード・ハリス、ジェームズ・ウールヴェット/第65回アカデミー作品・監督・助演男優・編集賞受賞[…]
総じてクリント・イーストウッドの作品って最終的につらい別れが待っていたり主人公が死んでしまったり、「無情」なものが多いですけど、あまりにも「無情」が過ぎると観終わったあとにどうにもやり切れなくなって「もう観たくない…」ってなっちゃいます。
人間としてすごく大事で難しいテーマを扱った作品が多いのは間違いないんですけどね。
避けて通ってはいけないのでしょうが感情が追い付きません。
【ミリオンダラー・ベイビー】をご覧になる時は、鑑賞後に例えようもない「無情」感に襲われると思われますのでご注意ください。
映画【ミリオンダラー・ベイビー】のあらすじザックリ
大事なものが傷つくことを極端に恐れる孤独な老人フランキー
かつてはカットマンとして活躍し、現在はトレーナーとしてボクシングジムを経営しているフランキー(クリント・イーストウッド)は、無口で不器用な上に慎重な試合選びしかしないため優秀なボクサー達の誤解を招き逃げられてばかりいます。
そりゃそうです。
アスリートなんてチャンスがあれば、危険であっても勝つ見込みが少ししかなくても自分より強い相手に挑みたいものです。
でもフランキーは大事なボクサー達の身の安全を第一に考える余り、一か八かの試合は組んでくれない。しかもそれを選手にうまく伝えることもできません。
今回もまた、手塩にかけて育てたビッグ・ウィリー(マイク・コルター)に移籍すると告げられ、フランキーは意気消沈していました。
参考 カットマン=ボクシングで選手が傷を負い出血した際にその止血を行うセコンドのこと
失意のフランキーのもとに舞い降りた「天使」
そんな時、貧しい家庭で愛情をかけられることなく育ったマギー(ヒラリー・スワンク)という少女がジムに現れます。
自分の価値を証明するためボクシングを教えてほしいというマギーの申し出を最初は断るフランキーでしたが、相棒でジムの雑用係のエディ・“スクラップ・アイアン”・デュプリス(モーガン・フリーマン)の説得もあって少しずつ技術を教え始めます。
彼女自身も家族に愛されることなく心に傷を負ってはいるはずなのに、人の痛みを理解し強い信念を持ち前向きに生きているマギー。幸せとは言えない環境で奇跡的になんとも真っすぐ育ったものです。
私にはマギーは孤独なフランキーの元に舞い降りた天使のように映ります。
名画【ロッキー】よろしく次々と敵をなぎ倒すマギー
フランキーとトレーニングに励みメキメキと力をつけたマギーは順調に勝ち続けついにWBAタイトルマッチに挑むチャンスに恵まれます。
ここまでは「いけいけいってまえ~っ!」と血沸き肉躍る爽快なサクセスストーリー!
勝つたびマギーはフランキーに向かって笑顔を見せ、それに応えてフランキーもマギーに不器用な笑顔を作り返します。
もう一度【ミリオンダラー・ベイビー】を鑑賞するとしたらここまででいいです。
根性なしですみません。
試合は終始マギーに有利な運びでしたが、対戦者の反則パンチにより転倒、落下地点に置いてあった椅子に首を強打し全身不随になってしまうのです。
ネタバレ結末「もしも私だったら」と考えずにはいられない
はい「こうなって欲しかった」という私の妄想でした。
実際は、マギーが「全身不随」となった時点で固まっていた私。
私がもしこんな体になってしまって、誰にも助けてもらえず家族の負担になるくらいやったら、
いっそのこともう死にたいって思うと思う…!
そう頭で考えながら観ていると驚いたことに、なんとマギーも同じところに行きついてしまったのです。
同じ状況であったら自分は死んでしまいたいと思うしきっとそうするだろうに、マギーには頑張って生き抜いて欲しかったなんて矛盾した要求です。
でもまさかマギーのように強く前向きでボクサーとして成功した女性が死を選ぶだなんて信じたくありませんでした。
でも以前の自分の人生が輝いたものであればあるほど、残された数十年の命をただ動かなくなった自分の体を眺めて過ごすなんて耐えられないことでしょう。
映画【ミリオンダラー・ベイビー】の感想
さきほど私が書いたありきたりな「妄想」のような結末でなく、賛否両論巻き起ころうが現実的に「尊厳死」について描いたクリント・イーストウッドは本当に素晴らしいと思います。
思いますけど。現実から目を背けることは良くないんですけど。救いようがないことなんて世の中にはいくらでもあるんですけど。
救いようがなさすぎて、つらすぎて、【ミリオンダラー・ベイビー】はあまり好きではありません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。