【汚名(1946)】ケーリー・グラントとイングリッド・バーグマン

【汚名(1946)】あらすじと観た感想。キスは3秒って言うてるやろ!

【汚名(1946)】ケーリー・グラントとイングリッド・バーグマン

1946年/アメリカ/監督:アルフレッド・ヒッチコック/出演:ケーリー・グラント、イングリッド・バーグマン、クロード・レインズ、レオポルディーネ・コンスタンチン、ルイス・カルハーン、アレクシス・ミノティス

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

汚名のヒッチコック
©Notorious/汚名より引用

女性って「ちゅ」みたいな、いわゆるライトキスやバードキスといった軽めのキスが好きだったりしますよね。

私も嫌いじゃありませんけど、だからといって唇が触れ合うだけのキスばっかり延々と繰り返されても興ざめです。バードキスもせいぜい4~5回繰り返したら次は舌入れるとか首筋に移行するとかあるでしょうに。

朱縫shuhou

今「なんの話やねん」って思ったでしょ?

いやいや、ちゃんと映画本編に関係ある話なんですって。

 

“サスペンス映画の神様”アルフレッド・ヒッチコック監督によるスパイ映画、【汚名(1946)】です。

 

 

 

映画【汚名(1946)】のあらすじザックリ

ドイツ出身の父親がナチスのスパイであったとして、世間から非難されていたアリシア・ヒューバーマンに、FBIエージェントのT・R・デヴリンが近づく。デヴリンはアリシアに、第二次世界大戦後にブラジルに逃げたナチ党グループを見つけるための助力を求める。

 

 

ナチの残党に素人スパイがハニー・トラップ

国家反逆罪で20年くらったヒューバーマン氏の娘アリシア(イングリッド・バーグマン)は、オトンがドイツ人でオカンがアメリカ人の、アメリカ育ちの女性。

父親の実刑判決で自暴自棄気味になっていた彼女の前に、T・R・デブリン(ケーリー・グラント)と名乗る見知らぬ男が現れます。ナチの残党の秘密を探るスパイとしてアリシアをスカウトしに来たデブリンの正体は、FBI捜査官。

【汚名(1946)】ケーリー・グラントとイングリッド・バーグマン
©Notorious/汚名より引用

協力に同意したアリシアは、さっそくデブリンと共にターゲットらが潜伏するブラジルへ渡ります。しかしいつの間にか愛し合うようになった2人にとって、この作戦は少々過酷なものでした。

なぜならアリシアの任務は、父親の友人でもあったファシストのセバスチャンクロード・レインズに近付き彼の身辺を探ることでしたから。

【汚名(1946)】ケーリー・グラントとイングリッド・バーグマン
©Notorious/汚名より引用

「近付いて秘密を探る」って軽く言うけどあなた、アリシアは作戦のためにセバスチャンとキスもすればセックスもするし、最終的には正式な婚姻関係まで結んでしまうんですよ?

道理でデブリンときたらアリシアの“仕事”が順調に進めば進むほどイラついた表情を見せるはず。いくら仕事のためって言っても普通の恋人同士じゃ許せないレベル。アリシアもアリシアですよ、彼女は「素人の女性」って設定のはずなのに好きでもないオッサンと結婚にまでいたるだなんて、なんなのその超高いプロ意識。

 

ボトルの中身はウラニウム

さて、カラダを張ったアリシアのスパイ活動は順調に進み、デブリンはついにセバスチャン邸のワインセラーで、ワインではなく怪しげな粉の入ったワインボトルを発見。

【汚名(1946)】ケーリー・グラントとイングリッド・バーグマン
©Notorious/汚名より引用

持ち帰った粉を調べた結果、この粉は「ウラニウム(ウラン)」であることが判明します。

 

それにしても「ウラン」と聞いて即座に「原爆や!」なんて連想できない私にとっては、セバスチャンを含めたナチ党の連中が密かに原爆の材料になるウランを収集していたことを突き止めてアリシアのスパイ大作戦は一応終息する、という結末は難解すぎました。

【汚名(1946)】ケーリー・グラントとイングリッド・バーグマン
©Notorious/汚名より引用

余りにも難解だったため敬愛する映画バカに訊ねてみたところ、「ウラニウム」と聞いて観客がピンとこないことはヒッチコック的に全然アリだったはず、と言っていました。

ヒッチコックはこういう「実体が何か分からないモノ(この場合は“ウラニウム”)」を指して「マクガフィン」と言ったそうですが、それをみんなが取り合ってるという状況だけが大事であってその正体に関する説明は不要だと考えていたみたいです。

 

「何かよく分からないけど凄いものが見つかったらしい」って感覚さえ伝わればOKってことですね。

参考 マクガフィン=アルフレッド・ヒッチコックが使った言葉で、「物語の中でいっけん重要に見えるが、実はサスペンスを生み出すための単なる口実でしかないプロット上の仕掛け」のこと。

 

 

映画史上もっとも長い(当時)キスシーン

ヒッチコックは【汚名(1946)】で濃厚なラブシーンを描きたかったと言います。

しかし「キスシーンは3秒以内」のルールに縛られていた当時のハリウッドではとても叶わない。

苦肉の策でヒッチコックが絞り出したのが、「エンドレス・キス作戦」

【汚名(1946)】ケーリー・グラントとイングリッド・バーグマン
©Notorious/汚名より引用

ブラジルのホテルのベランダでくつろぐアリシアとデブリン。お互いの気持ちが通じ合ったばかりの2人はボルテージMAX。

人目も気にせずベランダでキス(3秒)。

ちょっと唇が離れる。

そしてまたキス(3秒)。

またちょっと唇が離れる。

そしてまたキス(3秒)。

ベランダから部屋へ移動しながらキス(3秒)。離れる。電話でホテルのボーイと話しながらキス(3秒)。離れる。玄関へ移動しながらキス(3秒)。離れる。でもすぐキス(3秒)。

【汚名(1946)】ケーリー・グラントとイングリッド・バーグマン
©Notorious/汚名より引用

こんな風にちょっとずつ離れたりくっついたりを繰り返させることで、最終的にヒッチコックは2分半ものキスシーンの検閲をパスさせてしまいました。

「(公開時までの)映画史上最長のキスシーン」はこうして完成したワケですね。

参考 ヘイズ・コード(映画製作倫理規定、プロダクション・コード)=1934年から1968年まで導入されていたアメリカ合衆国の映画における検閲制度。「キスは3秒以内」など厳しい制約があった。

 

 

映画【汚名(1946)】の感想一言

朱縫shuhou
いやだから、実際こんな風に2分半も唇だけツンツンされても鬱陶しいだけなんでしょうけど、そこは「3秒以上はキスしてへんもん」とヘイズ・コードをおちょくってみせたヒッチコックの茶目っ気に完敗ということですわ。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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