【トミー】ロジャー・ダルトリー

映画【トミー】あらすじと観た感想。ザ・フーのロックオペラを映像化

【トミー】ロジャー・ダルトリー

1975年/イギリス/監督:ケン・ラッセル/出演:ロジャー・ダルトリー、アン=マーグレット、オリヴァー・リード、エルトン・ジョン、エリック・クラプトン、ティナ・ターナー、キース・ムーン、ジャック・ニコルソン

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

【トミー】ロジャー・ダルトリー
©Tommy/トミーより引用

イギリスのロックバンド「ザ・フー」のロックンロールとオペラを融合させた“ロックオペラ”を収録したアルバム「トミー」を映像化した作品。全幕セリフは歌です。しかも吹き替えなしで、すべて演じた俳優本人が歌っています。

ザ・フーに詳しくない私(ベタにビートルズの方が好きだった)でも楽しめるくらいですから、熱狂的ファンなんかはたまんないんでしょうねこの映画。

 

楽しめると云えば楽しめるのですが、主人公のトミー(ロジャー・ダルトリー)が置かれた境遇があまりに過酷で視聴後は何となく憂鬱になります。

【トミー】です。

 

 

 

映画【トミー】のあらすじザックリ

第二次世界大戦時、ウォーカー大佐は身ごもる妻ノラを残し出征。大佐は帰還せず、終戦の日、ノラは男児を出産しトミーと名付ける。ノラはフランクと再婚するが、ある晩死んだと思われていた大佐が帰ってくる。慌てたフランクが大佐を殴り殺す場面を目撃したトミーは盲目・聾唖の三重苦に陥ってしまう。

 

 

「見えない・聞こえない・話せない」三重苦の少年トミー

ロックな楽曲の歌詞って、結構ヘビーな内容が抽象的表現に変えられてさらっと歌われていたりするじゃないですか。

詩や小説と違って歌詞っていうのはメロディに合わせて限られた文字数でひとつの物語を成立させなければならないから仕方ない訳ですが、でもそれを映像化するとなると話は少し違ってきます。

例えば軽~く「トミーは何も見えない!聞こえない!話せない!」と歌われている部分。

【トミー】アン=マーグレットとオリヴァー・リード
©Tommy/トミーより引用

ロックンロールとして聴いているだけなら「うおー!見えないぜ!聞こえないぜ!話せないぜ!Yeah!」ってテンション上がってお終いですけど、この部分を映像化すると途端に悲壮感が漂ってくるんですよ。

トミーの父親のウォーカー大佐(ロバート・パウエル)が戦死する場面も、歌詞では「Captain Walker didn’t come home. ウォーカー大佐は帰って来なかった」で終わりだけど、映像では炎に巻かれて死んで行く、とかね(実際は生きていたんだけど)。

 

映像を観て一番ゾッとしたのはトミーの従兄弟のケヴィン(ポール・ニコラス)が歌う「I’ll put glass in your dinner And spikes in your seat…」の部分。字幕は「晩飯にガラス入れたろか!便座に釘刺しといたろか!」となっています。

この悪戯を実際にやってみたらこんなんですわ。

【トミー】
©Tommy/トミーより引用
朱縫shuhou
やめとけよもう!

「ああ~ロックンロールを映像化(舞台でも何でもいい)するとこんな感じになるのかあ~…」と驚きの発見がある画期的な映画です。

【トミー】アン=マーグレットとロジャー・ダルトリー
©Tommy/トミーより引用

成長したトミーを演じているのがザ・フーのリード・ボーカリスト、ロジャー・ダルトリー。演技力云々については作品自体が特殊なんで評価しにくいんですけど、彼が歌い出すとやっぱりハッとします。

盲目・聾唖 ろうあの三重苦を背負ってなお母親のノラ(アン=マーグレット)を呼び続けるSee Me 僕を見て,Feel Me 僕を感じてが、本当に閉じ込められてる精神世界から発せられているようで切なくなってくるもんね。「Help ・・・・ Me」じゃないところも何だか苦しい。

【トミー】アン=マーグレットとロジャー・ダルトリー
©Tommy/トミーより引用

 

 

エリック・クラプトンやらエルトン・ジョンやら

世界中で絶大な人気を誇るザ・フーの画期的な映画が製作されるとあって、たくさんのミュージシャンが出演してくれています。

まずはマリリン・モンローを偶像崇拝するカルト集団の伝道師にエリック・クラプトンでしょ。

【トミー】エリック・クラプトンとマリリン・モンロー像
©Tommy/トミーより引用

 

無敵のピンボールチャンピオン(なんやねんそれ)にはエルトン・ジョン

【トミー】エルトン・ジョン
©Tommy/トミーより引用

眼鏡は私物と言われても疑わない。遠近感がおかしくなる巨大なブーツが鬼キュート。

 

The Acid Queen 麻薬の女王」はソウル・デュオ“アイク&ティナ・ターナー(当時)”のティナ・ターナー

【トミー】ティナ・ターナー
©Tommy/トミーより引用

娼婦と云うより完全に中世の魔女。拷問器具“鉄の処女”を模したアーマーを所有してる。

 

変態のアーサー叔父さんにはザ・フーのドラマーであるキース・ムーン

【トミー】キース・ムーン
©Tommy/トミーより引用

色んな変態器具を持ってるけど変態器具過ぎて素人の私にはいずれのものも何に使うのか用途が皆目分からない。

 

もうね、全員よく出演引き受けてくれたなってくらいのパンチの効き具合で面食らいますよホントに。

 

ジャック・ニコルソンやら

ミュージシャンでも何でもない人も混じってます。

私の愛するジャック・ニコルソンです。

【トミー】ジャック・ニコルソン
©Tommy/トミーより引用

本能的に嫌な感じがするトミーの治療をする医者役。

ただの俳優。

え?

ジャック・ニコルソンだけセリフがあるのかって?

いいえ、映画【トミー】は全幕地のセリフなしの歌唱のみですから、もちろんジャック・ニコルソンも歌ってますよ。

ジャックは自分の歌唱シーンを心配していたケン・ラッセル監督に向ってドヤ顔で「歌われへんと思ってたんか?(≒ 歌えるんやで俺)」と言ったらしいですけど、ひいき目に見てもドヤるほどうまくはありません。

 

 

映画【トミー】の感想一言

朱縫shuhou

教祖になった時のトミーの「酒は止めとけ、タバコもや。だからってただ真面目なのもあかん。時代は変わったんや」っていうセリフ(歌詞)が好きです。

当時としてはかなり先取ってましたよね。令和の今にこそ当てはまるような…。

こんなん言われたら私もトミーを信奉するわ。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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