1991年/アメリカ/監督:リドリー・スコット/出演:スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス、ハーヴェイ・カイテル、マイケル・マドセン、ブラッド・ピット、クリストファー・マクドナルド/第64回アカデミー脚本賞受賞
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子供の頃、「アメリカってみんなが愉快で自由で楽しそう。アメリカ人に生まれたかった」って思った事あります。
だって「自由の国」って習ったんだもん。
そんな表面的で単純な考えを改めなければならなくなったのは、私の場合はやっぱり映画の影響が大きいのです。
生まれながらにして自由である権利を持つはずの人間(或いは女性)が、「自由の国」で「自由でいること」の難しさを描いた名作。
公開時(1991年)にはとっくにそのムーヴメントは去っているけど、破滅的な主人公と衝撃のラストと醸し出す雰囲気は完璧に女性版「アメリカン・ニューシネマ」。
この結末を避けるためには、じゃあ一体何をどうすれば良かったんや。
【テルマ&ルイーズ】です。
映画【テルマ&ルイーズ】のあらすじザックリ
親友同士のテルマとルイーズの週末旅行
この映画好きな俳優ばっかり出てるんでお気に入りを通り越してもうたまらんばかりに尊いんですよね、くわ~。

専業主婦のテルマ(ジーナ・デイヴィス)はモラハラ夫のダリル(クリストファー・マクドナルド)の束縛で息苦しい日々を過ごしています。系統が違い過ぎてどうやって意気投合したのか興味が尽きないテルマの親友ルイーズ(スーザン・サランドン)は、ストレス顔の独身ウエイトレス。
2人はこの週末、ルイーズの知人の別荘へ二人旅に出かけることにしています。
ダリルに殺されそうじゃん?ってビビリつつも、家を抜け出したことですでに楽しくて仕方がないテルマ。
長身だし何となく毅然とした女性のイメージがあるジーナ・デイヴィスが、【テルマ&ルイーズ】の時だけは天然で世間知らずのアンポンタンに化けるのが良いよね。後半はイメージ通りのクソ度胸のすわったジーナ・デイヴィスに戻っちゃいますけどね。
「死んで当然」の人なんていない?いるよ、いるいる
はしゃいだテルマは立ち寄ったバーで悪酔い。夜風に当たるため仲良くなったハーラン(ティモシー・カーハート)と言う男性と店を出ると、ひとけのない駐車場でレイプされそうになります。
危機一髪で現場にあらわれたルイーズは、テルマが護身用に持って来ていた銃でアホのハーランを撃ち殺してしまいます。
彼女らは現場から逃亡、2人の旅は意味も目的地もまったく違ったものになってしまうのでした。

何度観てもここでの彼女らの決断が悔やまれる。

テルマも最初に言うんですけどね、警察に行こうって。
でもルイーズは、レイプ未遂の直前にテルマとハーランが親し気にイチャイチャしていたのをバーにいた人みんなが見ていたことも分かっていたし、きっと正当防衛では通らないと予想。それにルイーズは昔テキサスにいた頃同じような事件に遭って、思い出したくもない苦い経験をしているらしい。
だから逃げた。

でもねえ、捜査に乗り出したハル刑事(ハーヴェイ・カイテル)の聞き込みによると、ハーランなんて普段から婦女暴行働きまくりのクズだった訳ですよ。バーの女性店員に「ハーランなんか殺されてもええんちゃう?殺したいと思ってる奴いっぱいおったし」なんて言われてるしね?強姦未遂ばかりかテルマはグーでぶん殴られて綺麗な顔が台無し。だからいっつも言うてるやんけ、女性を殴る男はクズやって。
こんなゴミは死んでもいいんです。
逃げなくても良かったんです。ルイーズは正義の鉄槌を下しただけ。もしかしたらこの時点なら何とかなってたかも知れないのに。
逃亡を続ける2人は、あれよあれよと止む無く罪を重ねざるを得ない状況に追い込まれて行きます。
知能の低いおっさんのトレーラーを爆破するくらいなら良いけど(あかんやろ)、さすがに強盗とか警察官をトランクに閉じ込めたりとかはあかんわ。私にもハル刑事にもかばいきれへん。
1966年型サンダーバードと若きブラッド・ピット
【テルマ&ルイーズ】の影の主役であるルイーズの愛車は空色の1966年型フォード・サンダーバード。

見た目は死ぬほどカッコいんですけど、国産車に乗り慣れてる日本人は恐らくその乗り心地の悪さに驚くと思います。映画でも車に乗ってる場面のテルマとルイーズがふんがふんが上下しているのが分かります。昔のアメ車で長距離とか地獄。
芋っぽい大学生を装ってテルマに近づき、愛する恋人ジミー(マイケル・マドセン)との別れを選んでまでルイーズが手に入れた全財産を盗んでトンズラするJDを演じたのは若き日のブラッド・ピットです。この時27歳。

やっぱりピッ君は正統派イケメンよりもクズを演じている時が最高。
私が思うピッ君最高傑作は【トゥルー・ロマンス】の時のラリパッパです。
1993年/アメリカ/監督:トニー・スコット/出演:クリスチャン・スレーター、パトリシア・アークエット、デニス・ホッパー、クリストファー・ウォーケン、ブラッド・ピット、ゲイリー・オールドマン、サミュエル・L・ジャクソン、ヴァル・キル[…]
どうすればこのラストは避けられたのか
「アメリカン・ニューシネマな雰囲気漂ってる」というだけあって、【テルマ&ルイーズ】には衝撃のラストが待っている訳ですけども。
私ラストのスーザン・サランドンとジーナ・デイヴィスの表情で涙出るんですけど、おかしいですか?

俳優の良い表情とか演技とかって、ストーリーの流れに関係なく(特に泣くような場面でなくても)圧倒されて涙出ますよね?え、みんな出ないの?
いや、うちのゴリラ(夫)は出ないって言うんで、私が変なのかと思って。

泣くとこちゃうやろ。
涙腺どないなってんねん。
(やかましい!)
(プリーズゴートゥーヘル!!)
このラストの2人もすごく好きです。絶対泣きます。
灼熱の太陽の下、オープンカーで荒野を走り陽に灼けてボロボロになったノーメイクの肌と砂埃でバサバサになった髪。
旅に出た時と余りに違う2人の姿に改めて衝撃を受けると共に、どうにかしてこの結末を避けることはできなかったのかと繰り返し考えてしまいます。

あなたたち2人なら、ここで自首して、刑期を終えてから政治家になって世直しとかできてたんじゃない?
でもあれか、ルイーズも言ってたけど終身刑とかだったらどうすんのよね。一生塀の中。
いやあなたたちなら塀の中でもたぶん強く生きていけるでしょうよ。
どうして「このまま真っすぐ走る」道を選んだ。
残されたジミーはどうする。
JDに「女房イカすぜ」と挑発されて激昂したことで意外にもちゃんとテルマを愛していたことが判明したダリルはどうする。
不思議と湧き上がる正義感で必死こいて2人を救おうとしているハル刑事はどうする。
ねえ、ねえ、ねえ。
映画【テルマ&ルイーズ】の感想一言

アホな男がたくさん出てくる中で、顔面だけで言えば最も「悪そう」なハル刑事とジミーだけは徹底してイイ男なんですよねえ~。
ルイーズのことが好きで好きでたまらないジミーがかわいすぎ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。















