【愛の嵐】シャーロット・ランプリング

映画【愛の嵐(1974)】あらすじと観た感想。サスペンダーとナチ帽で踊りますか

【愛の嵐】シャーロット・ランプリング

1974年/イタリア/監督:リリアーナ・カヴァーニ/出演:ダーク・ボガート、シャーロット・ランプリング、フィリップ・ルロワ、ガブリエル・フェルゼッティ、マリノ・マッセ、ウーゴ・カルデア

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

【愛の嵐】シャーロット・ランプリングとダーク・ボガート
©The Night Porter/愛の嵐より引用

甘ったるいだけの王道ラブストーリーより少々倒錯的であっても泥臭いロマンスの方が好きです。

歳のせいやろって?

いやちゃうがな、若い頃からやがな。

 

他人からの共感をまったく得られなくても完璧に愛し合ってて本人達が幸せだったらそれでいいじゃない。ふたりが愛し合うことでどっかの誰かが不利益被っても知ったこっちゃないでしょ。

そして例えその不利益を被った誰かに殺されたとしても、ふたり一緒なら幸せだよね。

 

サスペンダーで男物のズボンを吊り、上半身は裸。けちょんけちょんに切られたベリーショートの髪をナチ帽で覆い、ねっとりと体をくねらせながら歌唱する主演のシャーロット・ランプリングが衝撃的だったイタリア映画、【愛の嵐(1974)】です。

 

 

映画【愛の嵐(1974)】のあらすじザックリ

1957年、冬のウィーン。戦時中ナチス親衛隊の将校であったマックスは、とあるホテルでフロント係兼ポーターとして素性をかくしてひっそりと暮らしていた。ある日ホテルに、かつてマックスが強制収容所で弄んだユダヤ人の少女が客として訪れ、マックスは困惑する。

 

 

元ナチス親衛隊将校とユダヤ人の少女の愛

「他人からの共感を得られない」ってひとくちに言っても【愛の嵐(1974)】の恋人達は超異常。

だって【愛の嵐(1974)】で描かれるのは元ナチス親衛隊将校と、そいつに弄ばれてた強制収容所のユダヤ人女性の恋だから。

【愛の嵐】シャーロット・ランプリングとダーク・ボガート
©The Night Porter/愛の嵐より引用

13年前、遊園地で楽しそうにブランコに揺られていた少女ルチア(シャーロット・ランプリング)は、突如としてユダヤ人強制収容所へ拉致られます。

ルチアが連れて行かれた収容所にいたのが当時ナチス親衛隊の将校だったマックス(ダーク・ボガート)。お医者さんの真似事して収容者たちの写真撮ったり身体検査したりする変態です。

 

戦争が終わり、変態マックスは数名の同胞たちと共に身分を隠してウィーンの街に潜伏しています。

今はただのホテルのフロントおっさん。夜勤の。なんでって、昼間はなにかと目立つからですわな。

【愛の嵐】シャーロット・ランプリングとダーク・ボガート
©The Night Porter/愛の嵐より引用
朱縫shuhou
今のマックスの職がそのまま英題【The Night Porter】になってんですね。

ある晩、いつものようにマックスがホテルの宿泊客を受け入れているところへ、アメリカの著名なオペラ指揮者が美しい妻を伴って訪れます。

指揮者の妻を見た瞬間、顔面に張り付いた営業スマイルが消えるマックス。

 

そうです、その指揮者の嫁はんこそ、自分がかつて強制収容所で「可愛がった」少女、ルチアだったというわけ。

【愛の嵐】シャーロット・ランプリング
©The Night Porter/愛の嵐より引用

 

強制収容所の異様な環境が生んだ愛?

まずあり得ないテーマを取り上げてる映画です。

だってナチ親衛隊将校と強制収容所のユダヤ人の恋ですよ?

もしかしたら明るみに出てないだけで実際には結構あったことなのかも知れないですけど、まあにわかには信じ難いですよね。

【愛の嵐】シャーロット・ランプリングとダーク・ボガート
©The Night Porter/愛の嵐より引用

しかもこの二人、当然ながらロマンティックに惹かれ合った甘い恋人同士ってわけじゃありません。

お二人とも立場が立場ですから、マックスは普通に殴ったり縛ったり辱めたりしてルチアをいたぶる、ルチアは当然反抗することもできずそんなマックスに従う。

どうやらそこで愛が芽生えたらしい。

朱縫shuhou
嘘ん!!

しかも二人のこの関係性は過去だけの話じゃない。再会した今でもガンッガン殴るからねマックス。ルチアのこと。

ルチアに対して「俺の天使」とか言うんですよ?「愛してるんだ」って。収容所時代にはルチアのためにルチアが嫌ってた男を殺してその生首をプレゼントしてたし。ルチアの喜ぶ顔が見たかったんでしょうよ、普通の恋する男みたいに。ルチア自身は生首見てドン引きしてたけども。

弄んでるうちに本当に愛してしまった、って次第ですわ。

 

でもガンッガン殴るから。

13年ぶりに出会った時もね、「なぜまた俺の前に現れた!」とかなんとか言いながらもう殴る殴る、髪の毛ひっつかんで引きずり回す。

【愛の嵐】シャーロット・ランプリング
©The Night Porter/愛の嵐より引用

ルチアはルチアで、その時彼女なんて言うたと思います?

当然すでに立場は逆転してるわけですよ?日陰の身となったホテルのフロント勤務のおっさんと、著名なオペラ指揮者の妻ですからね。もうルチアは自分の行動を誰に強制されるでもありません。

とっくに自由の身となったルチアが、13年前自分を弄んだ男に、かつてと同じようにしばき回されながら叫んだセリフがこちら。

ルチア
貴方が欲しい!!

どうですかこれ。

あろうことかルチアもマックスを忘れられなかった(あるいは再会したことで当時の感情が甦ってしまった)ということですわ。

【愛の嵐】シャーロット・ランプリング
©The Night Porter/愛の嵐より引用

一瞬観客の誰もが「あり得へんやろ」って思うんでしょうけど、ただの嘘くさい倒錯愛を描いたエロ映画だと思わないでください。

実際ルチアは当時親衛隊将校であったマックスに気に入られることで他の収容者より優遇されてたみたいだし、まだ年端も行かない少女だったルチアがその特別扱いを「愛」だと勘違いしてしまうこともあるのかも知れない。と考えると、“強制収容所”という異様な環境下で育まれた二人の歪んだ愛にも信憑性が生まれてきます。

【愛の嵐】シャーロット・ランプリングとダーク・ボガート
©The Night Porter/愛の嵐より引用

かつての同胞らに追い詰められて死を覚悟したマックスとルチアが、ナチスの軍服と当時のようなみすぼらしいワンピースに身を包んで明け方の橋をよたよたと歩くラストも厭世的で記憶に残る。

マックスとルチアの二人の ・・・フラッシュバックとして収容所時代の思い出が相互に描かれるのも好きです。

 

 

映画【愛の嵐(1974)】の感想一言

朱縫shuhou

「歪んだ愛」と言えば【愛の嵐(1974)】にはもう1人、マックスに対してただならぬ感情を抱いているらしき人物が出てきます。

最終的に裏切り者のマックスを亡き者にする元ナチス親衛隊同胞のバレエダンサー(名前忘れた)です。

【愛の嵐】ダーク・ボガート
©The Night Porter/愛の嵐より引用
朱縫shuhou

このバレエダンサーがうつ伏せに寝転びズボンを下ろしてお尻を出し、医者の真似事してるマックスに注射を打ってもらうシーンがあるんですけどね、そのシーンが妙にエロティックで偏愛的で。

まったく想像がつかないという意味では、主人公の二人よりマックスとバレエダンサーとの過去の方が気にかかるかも…。

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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