【ダーティハリー2】

映画【ダーティハリー2】あらすじと観た感想。ハリーの「正義」はそうじゃない

1973年/アメリカ/監督:テッド・ポスト/出演:クリント・イーストウッド、ハル・ボルブルック、フェルトン・ペリー、デヴィッド・ソウル、ロバート・ユーリック、キップ・ニーヴェン、ティム・マシスン

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

【ダーティハリー2】
©Magnum Force/ダーティハリー2より引用

本日の映画は、1971年の衝撃のデビュー作【ダーティハリー】で一躍時代の象徴となったサンフランシスコ市警のハリー・キャラハン刑事(クリント・イーストウッド)が再びスクリーンに還ってきた続編【ダーティハリー2】です。

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【ダーティハリー】クリント・イーストウッド

監督はドン・シーゲルからテッド・ポストに交代、クリント・イーストウッド演じるハリーは今作でも相変わらずの無骨さと冷徹な行動力を発揮するものの、物語の焦点はより複雑で倫理的な問いへと向かっています。

 

ちなみにこれまで5作製作されている「ダーティハリーシリーズ」ですが、【ダーティハリー】の後ろに「2」~「5」の数字が付くだけの邦題と違って原題に法則性はないことをご存知でしたか?

邦題原題
【ダーティハリー】【Dirty Harry】
【ダーティハリー2】【Magnum Force】
【ダーティハリー3】【The Enforcer】
【ダーティハリー4】【Sudden Impact】
【ダーティハリー5】【The Dead Pool】

ね、全然かすりもしてないでしょ?シリーズものでこーゆーパターンも珍しいよね。

いや別にだからどうってことでもないんだけども。

 

 

映画【ダーティハリー2】のあらすじザックリ

サンフランシスコ。証拠不十分で無罪となった労働組合幹部でギャングのボスが白昼に殺害される。その後もマフィアやギャングの大物などが殺される事件が続き、市警はハリー・キャラハンを一連の事件の捜査班に加える。マフィアの抗争事件と睨む警察は大物マフィアの監視を行うが、ハリーは現場の状況から交通課の刑事が犯人だと推理していた。

 

 

殺されてゆく犯罪者たち…犯人は「正義」の執行者

サンフランシスコで凶悪犯が白昼堂々次々と何者かに射殺される事件が発生。犯人は正体不明の射撃の名手で、殺されたのはいずれも法で裁けなかった・・・・・・・悪党たち。

【ダーティハリー2】
©Magnum Force/ダーティハリー2より引用

“銃を使わない事件解決”をモットーとする穏健派のブリッグス刑事(ハル・ボルブルック)らサンフランシスコ市警は一連の事件についてマフィア同士の抗争と決めてかかっていましたが、ハリー・キャラハン刑事(クリント・イーストウッド)だけは早い段階から事件の背後に警察内部の若き白バイ警官たちが関与していると睨んでいました。

ハリーの勘は大当たり。

真犯人は腐敗した司法に絶望した4人の新米警官たちで、彼らは「正義のため」と称して自分達で犯罪者を“処刑”していたのです。

【ダーティハリー2】
©Magnum Force/ダーティハリー2より引用

 

ハリーの「正義」とは似て非なるもの

法の網をすり抜ける犯罪者たちが次々と“処刑”される事件をハリーが追うことになる【ダーティハリー2】。

本来はハリーこそが法の形式よりも人命と正義を優先する型破りな警官だったはず。

【ダーティハリー2】
©Magnum Force/ダーティハリー2より引用

しかし1作目【ダーティハリー】で超法規的行動を実践していたハリーは、本作で法を超えて制裁を加える新米警官たちの行動に1ミリも共感を抱くことはありません。

だってハリーの信念と新米警官軍団の信念は似ているようで全然別のものですから。

【ダーティハリー2】
©Magnum Force/ダーティハリー2より引用

ハリーいわく、「警察」と「処刑屋」は違うんですよ。

新米警官軍団は「“死んで当然”の奴らしか殺してない」って言うけど、実際その“処刑”の過程で全然無関係の「“死んで当然じゃない”奴」も殺してしもてるんですよね。

こうなったらもう「処刑屋」ですよ。“処刑”することが第一義で、その他の犠牲や法を守ることについては二の次三の次になってしまいますやん。

【ダーティハリー2】
©Magnum Force/ダーティハリー2より引用

ハリーは「警察」ですから、法を守るんですよ。腐った法律だろうが何だろうが、別の秩序ができるまでは法律を守るんです。

そんな悠長なこと言うとるようでは凶悪犯罪からすべての民間人を守れないとしても、法で裁けないからと言って自ら犯罪者を殺して回るのは絶対に違うでしょうよ。

 

 

映画【ダーティハリー2】の感想一言

朱縫shuhou

サンフランシスコ警察イチ暴力的で過激な手段をとるハリーでさえ新米警官軍団の“処刑”には正義がないと断じます。

じゃあ正義ってなんやねんって問われたらそれはハリーにだって分からんのでしょうけど、でもハリーにしろ新米警官にしろ警察である限りは最低限法律だけは守らないとあきまへんでってことですわ。新米警官軍団がやってんのは正義の名を借りた暴力ですからね。

でも逮捕しても逮捕しても蛆虫みたいにわいてくる犯罪者たちを目の当たりにして「法で裁けない犯罪者を誰かが駆逐せなあかん」という信念が芽生えてしまった新米警官の気持ちも分からんでもない。

 

ハリーと新米警官軍団との対決は、シリーズの中で最も倫理的ジレンマに陥る一戦に仕上がっていて見応えあり。

シリーズ二作目でこの難しいテーマを扱ってくれたのも良かった。ここでハリーの正義を明確にしてくれたお陰で残り3作のハリーの言動は安心して見ていられますから。

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