1983年/アメリカ/監督:クリント・イーストウッド/出演:クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、パット・ヒングル、ブラッドフォード・ディルマン、ポール・ドレイク、オードリー・J・ニーナン、マイケル・キュリー、マイケル・V・ガッツォ
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
5作続く「ダーティハリーシリーズ」の中で唯一主演のクリント・イーストウッド自身がメガホンを取った一本。
その出来栄えや如何に、と期待して観てみれば何と言うか…「イーストウッドっぽさ」はあるんですけど「ダーティハリーっぽさ」がなくて複雑な心境になったもんです。
大体「ダーティハリーシリーズ」と言えば1作目の公開は1971年ですよ。次作【ダーティハリー2】が1973年、【ダーティハリー3】が1976年。3作目までは2~3年おきにトントンと来てる。
ところが続く4作目の公開はなんと7年後の1983年。
40代前半だったイーストウッドもガッツリ50代に突入して、さすがに昔ほどの精悍さは消え失せてたもん。
普通にこんな疑問は沸きましたわいな。
悲しいかなハリウッドのこの悪しき慣習(かつてのスターやヒット作にすがる)は現代にも連綿と受け継がれている訳ですが。
【ランボー/最後の戦場】とか。
さすがにクリント・イーストウッドをスライやらシュワちゃんやらと比べたらあかんか、すんまへん。
【ダーティハリー4】です。
映画【ダーティハリー4】のあらすじザックリ
ちっとも成長してないダーティハリー
さて、前作から7年が過ぎた今、かつてコンプライアンスギリギリの捜査(いや普通に違法もあった)で驚異の犯罪検挙率を誇っていたサンフランシスコ市警の“ダーティ ”ハリーことハリー・キャラハン刑事(クリント・イーストウッド)は、一体どのような要職に就いているのでしょうか?
と、とある法廷に現れるハリー。
またキャラハン刑事ですか!
いい加減にしなさいよ!
あれ…?
何か怒られてる…。
どうやらハリーは「勘」を頼りに街のチンピラを逮捕したものの、立件することができず結局釈放せざるを得なくなったらしい。
…て、ちょっと待って。
7年も経ってんのに昔と同じことしてる!
これは笑いましたね。
犯罪を憎むのは素晴らしいことですが、7年経ってもアホどもの駆逐の仕方が変わってない。
自分でも言ってるんですよ?同僚の刑事に向って「俺たちだけが頑張っても仕方ない」って。
もう十分わかってるんでしょうに、未だにがむしゃらにチンピラを小突き回っているとは…。
自らクリーンな警察署長になってやる、とか、警察学校で骨のある若者を育ててやる、とか、ここに至るまでに効率の悪い自分のやり方を変えると言う発想には至らへんかったんかい。
とにかく怒られまくる異端児ハリー
50代にもなっても以前と同じように、とにかく上司に怒られまくるハリー。
ハリーが上司に怒られてる場面の悲惨さときたら、前作までのそれとは比になりません。
だって絵面 がねえ…上司って言っても怒ってる人も怒られてる人も同年代なんですよ?
下手したら自分より若い奴に怒られてる。
これはキツイ。
本人が現場にいたいからって理由で出世を拒んでるとしてもよ。
こんなハリー見たくねえわ。
ところがどっこい、こんな不器用な生き様が往年のファンにはウケるんですよね~。
まあハリーやったら坊主頭でバケツ持って廊下に立たされてたとしてもカッコええわなあ。
「ダーティハリーの続編」と言うよりは「クリント・イーストウッド監督作」
とまあ、前半で未だに世の「悪」と孤独な戦いを続けているハリーが描かれるわけですが、今回はそんなハリーよりももっと孤独で過酷な戦いを強いられている、ハリーの同志とも呼べないこともない女性が現れます。
10年前、知り合いのレイ・パーキンス(オードリー・J・ニーナン)と言う女に騙されてその不良グループに妹もろともレイプされた壮絶な過去を持つジェニファー(ソンドラ・ロック)は、事件によって精神崩壊してしまった妹のためにもたった一人で復讐を始めます。
どうして10年経った「今」なのかはちょっとよく分かんないんですけど。機が熟したんでしょうよ。
ジェニファーは自分と妹を犯した悪党を見つけ出しては眉間と股間に弾丸を撃ちこんで一人ずつ殺して行きます。
ジェニファーのこの、「連続殺人犯なんだけど理由を聞くとそれも納得。行っちゃえやっちゃえ!」と誰もが共感するであろう動機と状況は、「ダーティハリーの続編」と言うよりむしろ「クリント・イーストウッド監督作」って感じです。
ラストで連続殺人犯であるジェニファーを見逃すハリーもらしくない。
そんなことしてるからまた上司に怒られんだよ(てことはハリーらしいのか)。
ちなみにジェニファーを演じたソンドラ・ロックはクリント・イーストウッドの元愛人です。別れた後にしょうもない暴露本を出版して裁判沙汰になってからパッタリ見なくなりましたけど(2018年死去)。「クリント・イーストウッドの愛人」ってだけで女優業も監督業もパッとしませんでしたもんね。
同じ女性がレイプされてるのを横目で見ながら爆笑する西太后並みにワルい女レイを演じたオードリー・J・ニーナンの方がよっぽど存在感がある。
存在感と言えば、ちょっとだけだけど【ゴッドファーザーPARTⅡ】でフランクを演じたマイケル・V・ガッツォも出てます。
すぐ死ぬで?
1974年/アメリカ/監督:フランシス・フォード・コッポラ/出演:アル・パチーノ、ロバート・デュヴァル、ダイアン・キートン、ロバート・デ・ニーロ、タリア・シャイア、ジョン・カザール、リー・ストラスバーグ、マイケル・V・ガッツォ、G・[…]
映画【ダーティハリー4】の感想一言
湖に落とされた44マグナムの代わりに「.44オートマグ」を携えたハリーが遊園地に現れるラストは、クリント・イーストウッドが敬愛するセルジオ・レオーネ監督の西部劇みたい。
ああいう登場のしかたは西部劇だから良いのであって、現代劇でやられるとどうしてもやり過ぎ感あります。
ところがどっこい、ああいうベタな登場のしかたがこれまた往年のファンにはウケるんですよね~。
かなりファンサービスしてますよこの映画は。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。