【許されざる者(2013)】映画レビュー:過度な期待は禁物

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10秒で読める概要とあらすじ

2013年/日本/監督:李相日/出演:渡辺謙、佐藤浩市、柄本明、柳楽優弥、忽那汐里、小池栄子、滝藤賢一

クリント・イーストウッド監督・主演による西部劇【許されざる者(1992)】の日本リメイク映画。クリント・イーストウッドを渡辺謙が、ジーン・ハックマンを佐藤浩市が、モーガン・フリーマンを柄本明がそれぞれ演じている。  

※このブログはスタンダードにネタバレしてます!未視聴の方はご注意ください!

許されざる者2013ポスター

©Unforgiven/許されざる者より引用

やられました~…。

クリント・イーストウッド主演の【許されざる者(1992)】が日本でリメイクされるというのでワクワクと映画館に足を運びましたが残念な結果が待っておりました。

「クリスマスこんなの欲しい~」と、じいちゃんにシルバニアファミリーハウスをおねだりし、ハウスが来たらどうやって遊ぼうか、誰に自慢しようかと期待に胸を膨らませやっと迎えたクリスマス当日、

やって来たのは既製品のシルバニアハウスとは似ても似つかないじいちゃん手作りのベニヤ板で作られたバラック小屋だった時のような期待ハズレ感です。

【許されざる者(1992)】が完璧すぎた。

やっぱり無理があるのね。(しょんぼり…)
今回「それちゃうやろPOINT」だけ羅列して終わろうかしら。

オリジナル版【許されざる者(1992)】についてはこちらの記事にまとめてあります。
【許されざる者(1992)】/1992年/アメリカ/西部劇/名優クリント・イーストウッドがアカデミー賞作品賞と監督賞を受賞した映画のネタバレ・感想・思い出です。

【許されざる者(2013)】です。

 オリジナル版とリメイク版の主要登場人物

ウィリアム・ビル・マニー(クリント・イーストウッド)
:釜田十兵衛(渡辺謙)


リトル・ビル・ダゲット(ジーン・ハックマン)
:大石一蔵(佐藤浩市)


ネッド・ローガン(モーガン・フリーマン)
:馬場金吾(柄本明)


スコフィールド・キッド(ジェームズ・ウールヴェット)
:沢田五郎(柳楽優弥)

ディライラ・フィッツジェラルド(アンナ・トムソン)
:なつめ(忽那汐里)


ストロベリー・アリス(フランシス・フィッシャー)
:お梶(小池栄子)


スキニー・デュボイス(アンソニー・ジェームズ)
:秋山喜八(近藤芳正)


イングリッシュ・ボブ(リチャード・ハリス)
:北大路正春(國村隼)

W・W・ブーシャンプ(ソウル・ルビネック)
:姫路弥三郎(滝藤賢一)

それちゃうやろPOINT①
十兵衛の過去が映像化されている

【許されざる者(1992)】の記事でも書きましたが、オリジナル版では主人公ウィリアム・ビル・マニーの過去は人から人への伝聞や噂話、もしくはマニーの懺悔という形でしか出てこないんですね。

「聞いたぜ、あんたスゲー悪党だったらしいじゃねーか」(スコフィールド・キッド)
「みんな仲間たちもあんたを怖がっていた」(ネッド・ローガン)
「無茶苦茶だった俺をなだめてくれたのが妻だ」(ウィリアム・マニー)

てな感じ。

映像として表現はされていないが故に観る人各々の想像力で過去のマニーの極悪っぷりが決まる、私はそれがとても秀逸だと思っていたので、

リメイク版の冒頭でお馬さんが雪の中を爆走してるシーンを観て回想だと悟り、

朱縫shuhou
あちゃー…回想出ちゃったかぁー…

といきなり残念な気分になってしまいました。

それちゃうやろPOINT②
十兵衛がちょっとええ人になっている

オリジナル版のマニーは世間の噂によると「荒くれ者」「アウトロー」「殺し屋」で、人を傷つけ殺すことになんの躊躇もない冷酷無残な人間であったと言います。

とりたてて自分の正義や信念なんてなく、今で言うとただのチンピラです。

そのとんでもないチンピラが、たった一人の愛する女性に出会って見事真人間に更生する…

その事実だけで感動できるし愛の深さを思い知らされます。

賞金首を探しに行く三人

©Unforgiven/許されざる者より引用

しかしリメイク版では十兵衛は幕府の兵士なので、ちゃんと理由があって戦い、人を殺してます。

いや何があっても人殺しなんて正義ではないけど、時代がそうさせてしまっている訳です。

一応「キリシタンの村の人間を女子供関係なく皆殺しにした」と言う噂は流れているんですが、それも実際は違うって金吾が言っちゃってます。

朱縫shuhou
えっ。

元々そんなに悪い奴ちゃうやん。

…許されるんちゃう?

と私はこの時沈着に思います。

それちゃうやろPOINT③
五郎に脚光当たりすぎ

アイヌの青年五郎がですね、なんかめっちゃええ味出してるんですよ。

柳楽優弥、若手なのにええ演技されてます。

ガサツな感じとかちょっと頭が足りなくて向こう見ずな感じとか、オリジナル版のキッドに近かったので五郎自体は良かったんですが、五郎と十兵衛の亡き妻に絡めてアイヌの悲惨な歴史がチョロ…っと出てくるんですよね。

チョロ…っと。

この下り、必要やったんかどうかが疑問です。

それちゃうやろPOINT④
なつめが十兵衛に恋心を抱かない

オリジナル版でアホのカウボーイに顔を斬り付けられ、事件の発端となる娼婦ディライラ。
彼女は何かを背負ってどこか遠くを見ているマニーに憧れとも恋心ともつかない いわく言い難い感情を持ちます。

ディライラとマニー

©Unforgiven/許されざる者より引用

亡き妻を想い、慰めでも娼婦を抱くことを拒むマニーに「奥様が羨ましいわ」とポツリと呟き立ち去るディライラ…

殺伐とした【許されざる者(2013)】の中で唯一切なく淡い気持ちになる場面です。

たたずむ十兵衛となつめ

©Unforgiven/許されざる者より引用

ところがリメイク版でのディライラ・なつめは十兵衛の背中になんと、

父を重ねちゃいまーす。

恋心はまあ、配役的(渡辺謙と忽那汐里)にちょっと無理があるかなとは思ってましたが…

父を重ねちゃったよー…

とほほ…

それちゃうやろPOINT⑤
一蔵が二枚目すぎる

名優ジーン・ハックマンの役を名優佐藤浩市がっワクワクっ!」

…残念ながら映像になってみるとイメージが違いすぎました。

ブーシャンプ君に色々武勇伝を聞かれて得意げに話してしまうおどけた人間くさい面と、いざ自分の仕事となると完膚なきまでに相手を叩きのめす冷酷な面を持つダケット署長に対して、大石一蔵署長は顔とキャラが二枚目すぎる。(マジで)

視覚効果って大事。

それだけでなんだか入り込めずでした。

二枚目すぎる一蔵

©Unforgiven/許されざる者より引用

それちゃうやろPOINT⑥
最後の復讐シーンで苦戦しすぎる

これも【許されざる者(1992)】の記事に書きましたが、オリジナル版のラストの復讐劇は正に 電光石火 のごとく幕を閉じます。

多対一の戦いにもかかわらず、禁じていた酒を浴び本来の姿を取り戻したマニーの前ではもはや街の暴君であったダケット署長でさえ敵ではなく、あらがう者はみな物言わぬ死体となって酒場の床を転がるのみ。

またしても殺人を犯し罪を背負いマニーは子供たちの待つ農場へ帰っていくのでした。

ちゃんちゃん♪

エピローグ的な。
復讐からここまでの流れが スピーディで実に爽快 なんです。

リメイク版では一蔵ら警察の面々が酒場で宴を開いている最中へ十兵衛が単身乗り込み、店主をためらいなく射殺するまでは同じなものの、その後驚くべきことに

十兵衛ちょっと苦戦します。

結構傷つくし。

脇腹刺されるし。

電光石火どころかスローになっちゃうし。

…エモノが銃と日本刀では全く戦い方が変わってくるのである程度仕方ないのは分かるのですが……
刀とはいえ【るろうに剣心】の緋村抜刀斎よろしく、敵をすり抜け一瞬で勝負をつけて欲しかった…っ。

ぐぬぬ…!

しかも十兵衛、子供達んとこには帰りません。

五郎となつめに子供達の事を頼んで姿を消してしまうんです。

朱縫shuhou
!!!

子供達のために禁忌を破ってまで人殺して友達失って賞金手に入れて、それなのに一番大事な子供達を置いて どこへっ!

子供達も金なんかより父ちゃんが無事で帰ってくれるのだけを待ってたろうに なぜっ!!

理解に苦しむ………

総評

他にも私的にはツッコミドコロ満載だったんですが、目立ったのはこんなトコです。

飽くまでもオリジナル版と比較して、私の期待度が大きすぎたために生じた期待ハズレレビューだと云うことを改めて記述しておきます。

渡辺謙さん筆頭に、俳優陣の演技は申し分ないです。オリジナル版とはかけ離して観ると【許されざる者(2013)】は【許されざる者(2013)】で素晴らしい作品だと思います。

気に入る人は気に入るのかなー?

オリジナル版に「複製・模倣・リメイク禁止!(無理だから)」って書いときたいですね。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

【許されざる者(2013)】を観たくなったら

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