1988年/アメリカ/ヒューマン/監督:バリー・レヴィンソン/出演:ダスティン・ホフマン、トム・クルーズ、ヴァレリア・ゴリノ/第61回アカデミー賞作品・監督・主演男優・脚本賞受賞
自由奔放に生きる青年チャーリーはかつて勘当された父の訃報を聞き財産目当てで数年ぶりに帰省する。しかしそこで全財産の相続権が会ったこともない兄レイモンドにあることを知り、レイモンドを施設から連れ去り逃亡する。
※このブログはスタンダードにネタバレしてます!未視聴の方はご注意ください!

©Rain Man/レインマンより引用
当時は各メディアで普通に「自閉症の兄・レイモンド」と表記されていましたけど…
最近は「自閉症」とは言わず「サヴァン症候群」と言うんですね。
登場人物の目的と感情が明確でわかり易いストーリーはもとより、ダスティン・ホフマンのさすがの演技力と、トム・クルーズの溢れる若さが堪能できる傑作【レインマン】です。
参考 サヴァン症候群=知的障害や発達障害などのある者のうち、ごく特定の分野に限って優れた能力を発揮する者の症状
Contents
顔と愛想と調子いいだけが武器の高級車ディーラー
「ミスター童顔」トム・クルーズが演じるのは顔だけで世の中渡ってる(言い過ぎやろ)高級車ディーラーのチャーリー・バビット。
経営が思わしくなく金に困っているところへ勘当されてから何年も会っていない父親の訃報が入り、「やったぜ遺産!!!」とばかりに恋人スザンナ(ヴァレリア・ゴレノ)を伴って意気揚々と実家に帰ります。
人でなしですね。
嘘うそ、チャーリーにはチャーリーなりに、父親との葛藤があったのです。
しかし今はとにかく金が欲しい!!

©Rain Man/レインマンより引用
思惑ハズレて頭悪いんで強硬手段
ところが父親の遺言により自分に与えられた遺産は車とバラのみ。
残りは兄のレイモンドにすべて渡るという。
…は?
ちょい待て兄って誰やねん!!
この時初めて兄の存在を知ったチャーリーは激怒し、サヴァン症候群の兄レイモンド・バビット(ダスティン・ホフマン)がいる施設に乗り込み無理矢理誘拐。(レイモンド自身はよく分かってない)
飛行機で速攻ロサンゼルスに戻ろうとしますが、飛行機を怖がり乗せようとするとパニックを起こすレイモンドのために長い道のりを車で移動する羽目になります。
サヴァン症候群使えるやん…悪知恵だけは働くんだね
例えば「○時になったらTVを観る」、「きっちり歯を磨く」など、レイモンドには毎日守らなければならない習慣がいくつもあって、それを破るとまたパニックになって暴れます。
ロサンゼルスの会社に電話をすれば社員は早く資金繰りを何とかしてくれと悲鳴を上げているし、大事な金づるとは言え色々と手がかかり面倒臭いレイモンドに対するイライラが募るチャーリー…。
しかしそんな道中、チャーリーはレイモンドの特殊な能力に気が付きます。
レイモンドは一瞬で何桁もの数字を記憶できるのです。
これ使える…
兄弟でラスベガスでハッスルしようぜ!
ラスベガスのカジノで一儲けする時の2人の姿は最高に胸躍ります!
ポーカーで次から次へと勝利する2人を見て店員が冷や汗を垂らし、やんややんやと彼らのテーブルの周りには人が集まり…
そりゃ勝てるよだって出てるカードも残ってるカードもレイモンドが全部覚えてるんやもん。

©Rain Man/レインマンより引用
無邪気にはしゃぎ大笑いするチャーリーと、不安げですがなんとなく楽しそうにも見えるレイモンド。
そのあと調子に乗ってルーレットもやってみますが負けちゃうシーンもかわいい。
「記憶力」の勝利であって、「予知能力」持ってるわけちゃうからね、お二人さん。
「ダンスを覚えなくちゃダメなんだチャーリーバビット」
大儲けすることができてご機嫌のチャーリーは、スザンナとダンスを踊る約束をしたレイモンドにステップを教えてあげます。
ラスベガスを一望できるVIPルームに、二人の革靴がぎこちなくカタカタと床を打つ音だけが響く名シーン。

©Rain Man/レインマンより引用
「変な気分になってくるわー」とチャーリーが照れます。
観ているこっちも気恥ずかしくなってなんだか微笑んでしまいます。
「カットー!」って撮影が終わったあと、トム・クルーズとダスティン・ホフマンもクスクス笑ってたんかなあとか想像してみたりします。
ずっとこうやって踊っててほしくなるような…
なんとも言えない、平和で、愛しいシーンです。
幼き日の「レインマン」を思い出す
タイトル【レインマン】。
この由来が明らかになるのは旅する最中モーテルでお風呂に入る時。
レイモンドの独り言のようなつぶやきによって、チャーリーは幼き日の兄・レイモンドの存在を思い出します。

©Rain Man/レインマンより引用
このシーンが一番好きです。
確かにあった過去の繋がりを思い出しただけで何年も離れていた兄弟の絆が戻るとは到底思えませんが、それでもレイモンドが兄だと確信を持てる記憶がよみがえったことでチャーリーの中で何かが変わりました。
チャーリーにとってレイモンドは遺産要求の道具ではなく、血を分けた大事な「兄」となったのです。
ダスティン・ホフマンの名演技にばかり目を奪われがちですが、自由奔放勝手気ままに生きてきたチャーリーが人として成長していく様を見事に体現したトム・クルーズも素晴らしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。