【マルコムX】映画レビュー:どこかで聞いた名言・演説…

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20秒で読める概要とあらすじ

1992年/アメリカ/監督:スパイク・リー/出演:デンゼル・ワシントン、アンジェラ・バセット、アルバート・ホール、アル・フリーマン・Jr、デルロイ・リンドー、ヴィンセント・ドノフリオ

アメリカで最も著名で攻撃的な黒人公民権運動活動家・マルコムXの自伝を元にした伝記映画。父は惨殺され、一度はギャングにまで落ちぶれ刑務所に入るが、そこでイスラム運動組織ネーション・オブ・イスラムと出会い活動家としての頭角を現す。

※このブログはスタンダードにネタバレしてます!未視聴の方はご注意ください!

©MalcolmX/マルコムXより引用

ちょっとタイトルんとこかっこよかったんで、GIF画像作ってみました。

白・赤・青、そして輝く星…
星条旗が炎に包まれ真っ黒に焼け、残ったのはアメリカンカラーで彩られた「X」の文字…
伝わるといいけどなこの震えがくるくらいのワクワク感。

日本人には馴染みの薄い黒人差別問題
日本人も欧米へ行くと差別対象であるとは聞きますが…

マルコムXが亡くなって50年以上、【マルコムX】が作られて既に20年以上が経ちます。

アメリカから人種差別はなくなったのでしょうか。
今のアメリカを見て彼はなにを思うのでしょうか。

世界中にデンゼル・ワシントンの名を広く知らしめた伝記映画【マルコムX】です。

父と母、そして自身の生い立ち

平和な日本で産まれ育った私たちには、マルコムXの生い立ちから既に想像がつかない壮絶なもの。

父親は牧師で黒人であることにプライドを持ち、白人から仕事をもらうことをよしとせずほぼ自給自足の生活を営み、母親は祖母が白人にレイプされて産まれたため見た目には白人のようですが、人一倍白人を嫌悪し、黒人の中でもより肌の黒い父親を選んで結婚したとマルコムXは語っています。

白人に従順でなかった父親はKKKの標的となっていたようで、しばしば自宅にも奇襲をかけられ、ある日遂に頭を何度も殴られ線路に放置され轢死体で発見されます。

参考 KKK(クー・クラックス・クラン)=アメリカの秘密結社、白人至上主義団体

その後母親は精神を病み、マルコムXは里子に出されることになります。

壮絶。

もーいや怖い。

KKKってしかし、【マルコムX】ではイメージそのままの白装束で馬に乗って現れるんですが、ここホンマかな?分かりやすく脚色してる?

立ち去るKKK

©MalcomX/マルコムXより引用

1930年くらいの話だと思われますが、車もブイブイ走ってる時代にこんな格好の人達が数人で闊歩しとったら注目されてかなわんわ。

ギャングに傾倒し収監される

もともと頭がよく、学校での成績もトップクラスだったマルコム少年は医者か弁護士になりたいと思っていたにも関わらず、教師に「黒人には向かないから諦めろ」と一蹴されます。

彼が最初に味わった黒人差別の瞬間でした。

そして彼は自分の能力を活かすこともできず、なし崩しに悪の道に入り、最終的には強盗などもろもろの罪で刑務所に入れられちゃいます。

刑務所で出会ったある人物

後に裏切られることにはなるのですが、受刑者仲間のべインズ(アルバート・ホール)との出会いのこの下りすごく好きです。

ベインズはマルコムXが生まれ持った明晰な頭脳を持て余していることをいち早く見抜き、なんでそんな無駄に生きとんねんバカかてめーと諭します。

本を読む・読む・読む…

べインズは言います。

白人の真似などせず黒人であることに誇りを持ち、白人が過去400年間で自分たち黒人にどのような仕打ちをしてきたか学べ、白人が作った辞書を読み覚え白人の言葉を学び武器にしろ

と。

少しずつべインズに影響されマルコムXは本を読みます。

刑務所の灯りが消えてもひたすらに本を読み続けます。

静かなシーンですがなんとも言えない高揚感で目えキラキラしてまいます。

しかし「何もかも白人が悪い。白人は絶対全員悪い」と何ら躊躇することなくズバリ言い切ってしまうべインズには徐々に違和感恐怖を覚えます。

ネーション・オブ・イスラムのスポークスマンになり頭角を現す

出所後マルコムXはベインズの所属するイスラム運動組織ネーション・オブ・イスラムのスポークスマンとなり組織の宣伝活動を始めます。

暴行を受けた「兄弟」の無事を確認するまで動かない

©MalcomX/マルコムXより引用

怒涛のように映し出されるスピーチの場面に鳥肌が立つでしょう。
なるほどベインズの言う通り、あらゆる歴史を学んでいなければこんなに喋り倒すことなんて不可能。

幼い頃弁護士になりたかったマルコムX、こんなけ理詰めで喋れりゃ絶対なれてたよね?
そして勝訴勝訴で敏腕弁護士間違いなし。

…そんなイチ弁護士の器の人物じゃなかったでしょうが。

ともかくすごい迫力で演説し倒します。

参考 スポークスマン=政府や団体の意見発表の担当者、また、代弁者

メッカを訪れ、自分の言葉で活動を始める

マルコムXが利口すぎて扱いにくくなってきたネーション・オブ・イスラム、
ネーション・オブ・イスラムの代表者がただのエロじじいだったことに失望したマルコムX、
お互いの軋轢は埋まらずマルコムXは団体を離れることになり、その後命まで狙われるようになります。

マジかちょいちょい。

ちょっと出過ぎるとそれかい。

お前らは一体何を説いとんじゃ。

獣じみた人間…いや獣。言葉があるにもかかわらず

ある2月の寒い日、マルコムXがスピーチをしようと登壇した時、ネーション・オブ・イスラムの信者の男たちから銃弾を浴びせられ彼は39歳の若さでこの世を去ります。

マルコムXが殺された時のキング牧師が発した有名な言葉。

「悲劇以外のなにものでもない。世界にはまだ意見の相違を殺人で解決しようとする人々がいる」

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア

©MalcomX/マルコムXより引用

出典:【マルコムX】字幕

まさしくこれ。

なぜに。

ただの「意見の相違」

まさにそうです。

意見を違えたもの同士で会議でも開いて打開策を模索したらいいでしょうに。
せっかく人間に産まれて、言葉が話せて感情を表現できるのに。

まるで動物のように、
本能のままに自分の道を遮った者を攻撃するなんて人間の所業とは思えなません。

400年の黒人の迫害を背負って戦ったマルコムXもキング牧師も、白人を皆殺しにしようとはしなかったのに。

スピーチをするマルコムX

©MalcomX/マルコムXより引用

マルコムXも最初は白人に対して攻撃的すぎる活動で黒人たちの中にも敵を作ったりしていたようですが、活動を続けるうちに各方面から影響を受けてどんどん柔軟に考え方が変わっていきます。

「弱腰だ」と公然と批判していたキング牧師とも晩年は面会を希望していたそうです。

そうして人は変わっていけるのに。

たった数発の銃弾は何もかも奪って無にしてしまいます。

私は黒人ではないですが、黒人をみな「兄弟」と呼び、自分自身も生き方を模索しながら命を懸けて黒人の権利を主張し続けた彼のような人間を誇りに思います。

「黒人」でなくとも同じ「人間」という括りであれば、「兄弟」と言ってくれるでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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