【デザート・フラワー】映画レビュー:性器を切られたモデル

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10秒で読める概要とあらすじ

2009年/ドイツ、オーストリア、フランス/監督:シェリー・ホーマン/出演:リヤ・ケベデ、サリー・ホーキンス、クレイグ・パーキンソン、ミーラ・サイアル

ソマリアの遊牧民出身のワリス・ディリーの伝記映画。13歳で60代の男性と結婚させられそうになったワリスは一人で砂漠を越えて逃亡しスーパーモデルとなる。その後彼女は国連で、出身部族の衝撃的な慣習の廃止を訴える。

※このブログはスタンダードにネタバレしてます!未視聴の方はご注意ください!

スーパーモデルの道を歩みだすワリス

©desert flower/デザート・フラワーより引用

衝撃すぎてある意味2度と観たくない映画です。

でもこういう映画こそ広めたいです。

国際社会でのサクセスストーリーの影に潜む今も残る無意味な慣習を、「映画」という娯楽に投影してくれた人達の努力に感謝します。

観てください。

お願いします。

【デザート・フラワー】です。

ソマリアの大自然の遊牧民の女性が主人公

【デザート・フラワー】の主人公、アフリカの大地で家畜を追い住居を転々とする遊牧民のワリス・ディリーリヤ・ケベデ)は実在の人物です。

多少の脚色・変更はありますが物語の大筋は事実

彼女は平和な国日本に生まれ育った私たちには想像だにできない壮絶な半生を送ります。

ソマリアで家畜を追っていたワリス

©desert flower/デザート・フラワーより引用

13歳の少女が砂漠を越える

父も母も健在、兄弟たちにも慕われ、家畜たちの世話をし、過酷な環境の中でも健やかに暮らしていたワリスは、13歳のある日、60代のじいさんと結婚させられることになります。

しかも4番目の妻として。

はい?

でも逆説的に言えば、そのお陰でワリスは都会に逃げることができたと言えなくもない。かも知れない。

そうワリスは「あんなジジイと結婚なんかできるかわりゃーっ!」と愛する母も兄弟たちも残し、1人広大な砂漠を越える決心をするのです。

僅か13歳の少女が、手ぶらでです。

ホームレスとなり死に物狂いで生き延びる

奇跡的に母方の祖母の元にたどり着いたワリスは親戚を転々とした後、ロンドンのソマリア大使館でメイドとして働けることになります。

しかしソマリア大使が帰国する際に一緒に連れ戻されそうになり再び逃亡。

ロンドンでホームレスとなり住むところも職もなくゴミ箱から食べ物を漁って食いつなぎます。

強運と言われる人は運命を引き寄せるのか

ある日ふらりと入ったブティックで後に「妹」とまで言ってくれる親友マリリンと出会い、マリリンのツテで職も得ることができたワリス。

その就業先のファーストフード店で運命的な出会いを果たします。

雑誌に載ったワリスの自慢をするマリリン

マリリン©desert flower/デザート・フラワーより引用

いつも伝記映画を観ていて思いますが、映画になるほどの著名な人って、例外なく「人運」も持ってますよね。

…それとも凡人が出会っても通り過ぎてしまうような出会いすらも「運命」に変える力を持っていることこそが凡人との違いなのか…

おう、哲学的なこと考えると頭から煙出ちゃう。

もとい、ワリスはファーストフード店で働いているところを、超有名なキャメラマンに見い出され、モデルになってくれへんかとスカウトされちゃいます!

ブラボー!

ヨーロッパを飛び出しニューヨークのステージへ

そこからモデルとしてのキャリアがスタートし、瞬く間にスターの階段を駆け上がっていくワリス。

ソマリアから大事に持ってきたパスポートがゴミ同然で使えなかったり、ビザを取るために偽装結婚したりと騒動は尽きませんが、すべてマリリンや事務所の協力を得て乗り越えます。

そしてついにニューヨークでのショーの舞台に立つまでに…!

ワリスはスターとなり雑誌の表紙を飾り、TVでドキュメント番組が組まれるほど有名になっていきます。

ヌードも撮っちゃうよー。

©desert flower/デザート・フラワーより引用

ワリスの「人生を変えた1日」

そんな中、ある雑誌社から「わたしの人生を変えた1日」という内容での取材依頼がきます。

記者が「あなたの人生を変えた日はファーストフード店でカメラマンにスカウトされた日よね?」と聞くと、ワリスは静かに口を開きます。

ワリス
その日とちゃうわ
自身の人生を変えた1日を語るワリス

©desert flower/デザート・フラワーより引用

涙目で頑張って観ました!体も少し震えます…

ワリスの人生を変えた日…

ワリスのソマリアでの幼少期の回想に入りますが、この辺りからもうすでに私は涙目です…。

ワリスはなんと3歳(実際は5歳)の時に、今もアフリカの数か国を中心に残る慣習「女性器切除」を受けさせられていました。

【デザート・フラワー】が本当に人々に伝えたいメッセージはアフリカの砂漠を越えた遊牧民の少女がスーパーモデルになったシンデレラストーリーではなく、この無意味な慣習によって女性が一体何を無くしその後の人生にどんな影響を与えるかなんです。

この無意味な悪しき慣習を止めさせなければと勇気を持って声を上げた1人のソマリア人女性の半生を、彼女に共感した人々が「映画」という娯楽を通じて世界に発信したメッセージなんです。

遠い昔のことではないです。

アフリカの一部の国では今も1日に約5500人の少女が「女性器切除」を受けるそうです。

病院で麻酔を投与されての場合はまだいい方で、ほとんどは麻酔も切除後のケアもなく、出血多量や感染症で亡くなる少女も後をたたないとのこと。

【デザート・フラワー】ではこの「女性器切除」がもっとも重きテーマなので、ワリスが幼少期のことを記者に語る時、きっと抽象的にではなく直接的に表現するのだろうなと予想はつきました。

だから私は回想に入った段階ですでに涙目…。

まだあどけない3歳の幼女の無邪気な笑顔がいつ奪われるのかと、恐ろしすぎて震えました。
HDDプレイヤーの停止ボタンを押そうか迷いましたが、目を逸らしてはいかん!と思い、歯をくいしばって鑑賞し続けました

今でも思い出すと涙が出るくらい恐ろしいです。

女性器切除について

私自身の娘も映画の中でワリスが女性器切除を受けさせられた年齢と同じ3歳…

「痛い!やめて!」と泣き叫ぶ我が子を押さえつけて性器を切り取る手術(手術などと呼べる代物ではないですが)を施さなければならないなんて…
(大抵は母親か親族の女性が押さえつけ現地の助産師が医師やナイフで施術するそうです)

「日本人に産まれてよかった」なんて手放しで喜ぶことはできません。

こんな幸せな国に産まれたことに感謝しつつ、世界のそんな慣習をなくす手助けを、何か小さなこと…例えば募金であっても、何か、何かできることはないものかと色々調べてユニセフのFGMのページに辿り着きましたが、

全部英語で全然意味が分かりませんでした!!!

どなたか英語のお分かりの方、何て書いてあるのか教えてください…。

募金したい…。(マジ)

参考 FGM = Female Genital Mutilationの略。「女性器切除」

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

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