【バードマン】

映画【バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)】あらすじと感想

【バードマン】

2014年/アメリカ/監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ/出演:マイケル・キートン、ザック・ガリフィアナキス、エドワード・ノートン、エマ・ストーン、エイミー・ライアン、ナオミ・ワッツ/第87回アカデミー作品・監督・脚本・撮影賞受賞

注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

 

マイケル・キートン
©Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance/バードマン より引用

何この映画。

初めて観た時の素直な印象。

 

えっと…マイケル・キートンが主人公でバットマ…ちゃうわ「バードマン」…

え?

 

長年ヒット作に恵まれなかった落ち目の俳優の過去のヒット作がバットマ…え?「バードマン」?

え?なにこれ実話??

 

最後まで頭こんがらがってました~。

【バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)】です。

 

参考 【バットマン】=1989年のSF映画。監督はティム・バートン、主演はマイケル・キートン

 

 

映画【バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)】のあらすじザックリ

リーガンは落ち目のハリウッド俳優である。かつては映画『バードマン』でスーパーヒーローを演じたスター俳優だったが、それ以降ヒットに恵まれぬまま20年以上が経過、世間から忘れ去られ、家庭でも失敗して惨めな生活を送っていた。彼は時折、零落した自分を嘲る心の声=バードマンに悩まされていた。

 

 

究極の長回し技術

なにこれなにこれすごいすごい!!!

映像がずーーーーーっとつながる、究極の長回し映画です。

 

しかも【12人の怒れる男】みたいに1室で完結する物語なわけではなくて、普通に屋外に出てバーに入るし、往来を走り回るし、かと思ったら劇場で芝居もするし、控室で談話もします。

それなのにぜーーーーーんぶつながってます

関連記事

1957年/アメリカ/監督:シドニー・ルメット/出演:ヘンリー・フォンダ、リー・J・コッブ、マーティン・バルサム、ジョン・フィードラー、E・G・マーシャル、ジャック・クラグマン注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気[…]

12人の陪審員達

 

どうしても「一夜明けて」「数日後」というように時間の経過が欲しい場合にも映像は途切れることなく、夜から朝になる空の映像や空っぽだった客席が満席になっていたりすることで時間が経ったことを表現。

時間がたったビル群
©Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance/バードマン より引用

ここまできたのねー撮影技術もねー。いやあすごい。おばちゃん感心するわ。

 

慣れてないので多少の違和感はあるけど新鮮なキャメラワーク

しかもキャメラ(あえての記述)が変なとこ映してる場面が多々あります。

例を挙げるなら主人公のリーガン・トムソン(マイケル・キートン)が娘のサマンサ・“サム”・トムソン(エマ・ストーン)に「オトンは古いんじゃ!ネットもSNSもろくに使えへんし!バードマンなんかみんな忘れてるわ!もう過去の人やねん!」と数分間なじられるシーン。

普通はそんなシーンの場合「なじられてる人物」を映して表情を読み取らせることが多いですが、【バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)】ではずーっとなじってるサムが映ってます

なじってる間ずーっと。

 

大丈夫?

オトンちゃんと聞いてる?

泣いてるん?

おれへんなってんちゃうん?

 

って心配になるくらいリーガンは映りません

他にもなんか変なとこにキャメラのフォーカスが合ってることが多いです。この効果ってなんなんでしょう。

 

全編を彩る軽快なジャズ・ドラムの響き(ちょいピアノもあり)

そして視聴者をタイトル画面からぐぐっと引き込むアクセントになっているのがおしゃれなジャズ・ドラムの響き。

余計なサウンドは一切なし。BGMはリズミカルなジャズ・ドラムと、もの悲しげなピアノだけで構成されています。

ところどころで演奏しているドラマー
©Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance/バードマン より引用

 

 

落ち目…いやとっくに落ちぶれている年老いた俳優

映画バットマ…「バードマンシリーズ」3部作が大ヒットしたのも20年以上前。

4作目の制作の話もあったのに断り、その後の俳優活動は鳴かず飛ばずで、今や完全落ち目の俳優リーガン。かつての人気を取り戻したいと切望しますが手段も分からず絶賛迷走中。

挙句の果てに何を思ったか60代にして映画俳優からブロードウェイの舞台に進出しちゃおうとしています。

演劇について語るリーガン
©Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance/バードマン より引用

妻とは離婚、薬物依存症の娘サムを付き人として傍においていますが全然噛み合ってません。

サムとマイク
©Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance/バードマン より引用

 

ブロードウェイなど初めてなのにプライドだけは高いので、プロードウェイの人気役者マイク・シャイナー(エドワード・ノートン)とも衝突ばかりしています。(まあこのマイクもアホなんですけど。エドワード・ノートンのなで肩サイコー)

 

「落ちぶれた」と思ってるのは本人だけじゃなくて?

「過去の栄光にすがりつく落ちぶれた俳優」って設定なんですけど(実際サムになじられたりしてますが)、そうかな?って思うシーンもあります。

バーでマイクと話していると、リーガンのファンという家族連れが写真を撮らせてくれと寄ってくるし、あるハプニングで裸で人混みを歩いていると「あっ!あの人は!」ってみんなに顔さされるし。

マイクと歩くリーガン
©Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance/バードマン より引用

「大御所俳優」として生きていく道もあったのではと思ったりしますが、きっと本作でのリーガンの「敵」は大衆そのものではなく、「大衆に完全に忘れ去られるかも知れない」と恐れおののくリーガン自身の弱さなんですよね。

自分がこんな窮地に立たされる羽目になったのはバットマ…「バードマン」の4作目を断ったからなのか、とか、一体どこで人生間違ったのか、とか、ずっと自問自答しているうちに謎の声が聞こえてきちゃって、最終的にはちょっと精神異常者じみてきます。

 

 

ついにバットマ…バードマンが実態化、そして…

サムともマイクともブロードウェイの批評家とも衝突し酒を浴び、いよいよ自暴自棄になったリーガンの元についに謎の声の主・「奴」が実態化して現れます。

 

後ろ!後ろ!

バードマン実態化!
©Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance/バードマン より引用

 

可哀想な老人の末路①

自在に空を飛びながらバットマ…バードマンは言います。

「空こそお前の世界だ。奴らを見下ろせ」

リーガンの体は浮き上がり

気が付くとビルの屋上に…。

 

大勢の見物人が集まる中、自殺と勘違いした人の制止を振り払って、飛び降りるリーガン!

 

死んだ?

あ空飛んでるわ。

空飛ぶリーガン
©Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance/バードマン より引用

 

可哀想な老人の末路②

リーガンはちゃんと生きてて自分の舞台に戻ってきます。

しかし出演前に控室からこっそり持ち出したのは、小道具ではなく本物の銃。これから演じるのは自分の頭を銃で撃ちぬいて自殺するシーンです。

 

大勢の観客が観ている前で、自分の頭に「本物の」銃を構え、引き金を引くリーガン!

 

死んだ?

あ入院してるわ。

 

可哀想な老人の末路③

なんとリーガンは自分の鼻を吹き飛ばしたのでした。

本物の銃にすり替わっていた件は「事故」とされ、舞台は大成功、リーガンと衝突した批評家も絶賛し、その記事がTIME誌の一面を飾っています。

 

かくして華々しいブロードウェイデビューを果たし、何かやり切ったような満足げな表情でベッドから起き上がり、ゆっくりと高層階の病室の窓を開け、身を乗り出し画面から消えるリーガン!

 

死んだ?

 

部屋に訪れたサムが、開いてる窓を不審に思い慌てて駆け寄り地上を見るも父の無残な姿はない様子…。

 

サムの視線は少しずつ上へ…。

 

ちょうど見上げるくらいの位置でサムの視線が捉えたものは?

 

可哀想な老人の話かと思ったら…

中盤から「この頭のおかしい老人はきっと死んで終わるんやろうな」と思いながら観ていましたが全然違いました。

死ぬんかな死んだんかなと散々思わせといて全然死なないし、たぶんこのおっさん死ぬ気ないです。

 

 

映画【バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)】の感想一言

朱縫shuhou

最後にトイレで背中を丸めて座ってるバットマ…バードマンがちょっとかわいい素敵な映画、よく意味が分かんないんですけど斬新です。ジャンルを色々調べていたら「新感覚コメディ」とありました。

おいワケわからんジャンル作んな。

また観よ。

観るんか~い。

 

>> 翌年(第88回)のアカデミー最優秀作品賞はこれ!

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

そんなあなたが大好きです。

>死ぬまでに観たい映画1001本

死ぬまでに観たい映画1001本

1902年公開の【月世界旅行】から2010年公開の【ブラック・スワン】まで。
一世紀以上に渡り製作されてきた世界中の無数の映画をたったの1001本に選りすぐり、一生に一度は観ておくべき不朽の名作としてまとめた無謀なリスト。

眺めているだけでもテンションが上がってしまう映画好きにはたまらないタイトルがぎっしり。あなたは何本観てますか?

CTR IMG