こんにちわ、朱縫shuhouです。
数年前、
関西在住の男友達のジョージ(仮名)が北海道の女の子と結婚することになりました。
北海道からはるばる関西にやってきた妻、道産子(どさんこ・仮名)とジョージはすぐに子宝に恵まれました。
今日はそんなジョージ一家のお話です。
Contents
ほぼ「できちゃった結婚状態」だったジョージ夫婦
いやあ~ジョージも結婚したかあ~と思っていたらすぐに道産子が妊娠しました。
北海道の両親とも旧知の友とも離れてたった1人で関西のジョージの元に嫁いできた道産子でしたが、あっという間に家族が増えて幸せそうでした。
ワンオペ育児ではあったけどよく笑っていたエルサ
車の免許を持っていない道産子は不便な北海道には帰らず、関西で出産することにしていました。しばらくして道産子は女の子を出産し、ジョージ夫妻は赤ちゃんにエルサ(仮名)と名付けました。
ジョージはなんというか…ちょっと亭主関白なところがあって、まったく子育てに協力的ではないし(オムツも替えたことないって言ってた。ゴミ捨てすらしない)、北海道から1ヶ月ほどお母さんが身の回りのことをしに来てくれていましたが、お母さんが帰ってからはずっと道産子は1人で子育てをしていて、立派やなあと当時よく思っていたものです。
大変な道産子をよそに、エルサはキャッキャとよく笑い、すくすくと元気に成長していきました。
エルサが2歳の時ライバル出現
育児の大変さもあってか、次第にジョージと道産子は喧嘩することが増えていきました。
それでも専業主婦の道産子は実家の北海道に戻っても就職のアテもなく、エルサとともに関西にいるしかなかったみたいです。
喧嘩ばっかりとはいえきょうだいだけは欲しかったようで、エルサが2歳になった時道産子は第二子を妊娠しました。
この第二子がジョージ一家の運命を大きく変えることになります。
何万人に1人かという○○の持ち主
第二子も女の子で、アナ(仮名)と名付けられました。
「姉妹でお揃いとか着せたらかわいいよね~」と夢膨らみ、その時ばかりはジョージと道産子も大きな喧嘩をしている様子もなく、エルサとともに新しい命の誕生をただ喜んでいました。
でもしばらくして道産子を訪ねると、困ったことが判明したと言うのです。
そしたらその後アナがおっぱいを飲んでる時に私の胸に顔をこすりつけるようにしだして…何かと思って顔を見たら真っ赤になってて、慌てて病院に連れて行くと色々検査されて…
アレルギーだって言われました…
それも何万人に1人かという、7大アレルゲン(特定原材料7品目=卵、小麦、乳、えび、かに、そば、落花生)は元より動物の毛も花粉もありとあらゆるものに反応する重度のアレルギー。
生卵を食べた道産子のおっぱいを飲んだだけで口の周りが炎症を起こしかゆくなり、胸に顔をこすりつけていたのです。
間接的にアレルゲンを体内に吸収するだけでもそんな調子…
ましてや直接牛乳などが肌に触れようもんならあっという間に水膨れのようになりガリガリと血が出るまで掻きむしります。
汗をかくこともダメで、夏場はいつも肌がカサカサか掻きすぎて血がにじんでいるような状態でした。
会うたびに様子が変わっていくエルサ
アナの重度アレルギーが分かってからの道産子の苦労は想像もつきません。
相変わらず育児に無関心のジョージに助けを求めることはできないし、それでなくても二人はまた以前のように喧嘩ばかりするようになっていたし、北海道のお母さんをしょっちゅう関西に招く金銭的余裕もないし、エルサだって幼稚園に入る前で構って欲しい盛りだし、
「大変」なんてもんじゃなかったと思います。
道産子の苦労も想像を絶しますが、言うても母の立場から言わせてもらえば子供のためならどんな困難に直面しようが底力が沸いてくるものでしょう。
アナが生まれたことによって 最も色んなことが変わってしまったのはエルサ です。
例えば今までは好きなだけ食べることができていたおやつひとつ取ってみてもそう。
少しでもおやつのカスが落ちていてアナが食べたり触ったりして大変なことにならないとも限りません。リビングでは一切食べられなくなりました。
おやつは(アナが羨ましがるといけないので)エルサ1人でキッチンに隠れてこっそり食べます。
そして道産子はアナのアレルギーに神経質になるあまり、すごく怒るようになりました。
アナがまだ小さな時にも何度も家に遊びに行きましたが、アナがいなかった時とは明らかに様子が変わってしまいました。
何をするにもまず アナ、アナ、アナ…
確かにアナは好きなものは食べられないし(米と納豆で大きくなってる)、体中湿疹だらけになったり埃で呼吸困難になったりしては病院に運ばれたりして、命にかかわる大病(?)を患っていて不憫だとは思うし、
そんなアナの身の回りの世話をする道産子だって親しい人の手助けもなく、本当に、本当に大変だったとは思うのですが…
エルサの笑顔は成長とともに次第に失われていきました。
小学生になったエルサに訪れた「嬉しい出来事」
アナもすっかり大きくなり、アレルギーは消えてはいないけれどアレルゲンさえ避けていればなんとか普通の生活をすることができるようになりました。
その後私も出産し長女のチョー子(仮名)と次女のジ子(仮名)を連れてジョージ宅へ遊びに行くと、もう小学生になったエルサがお姉さんぶってうちの姉妹の遊び相手を買って出てくれたりするようになりました。
なんかわがままな赤ちゃん時代があんまりなかったような…
そう思って見ていると、道産子がポツリと話し出しました。
毎朝『学校行かない~!』って泣いて嫌がっているのを引きずって私が学校まで連れて行ってるんです。
そうやって連れて行ってもすぐに先生から電話がかかってきて『迎えに来てください』って言われることもあります。
一体どうしたらいいんでしょう…
転機はアナの幼稚園への入学
詳しく聞くと、エルサの転機となったのはどうやらアナの幼稚園入学。
その年から幼稚園の協力もあってなんとかアナは入園することができました。
お昼はもちろんお弁当持参、そして今までその幼稚園で出されていた牛乳は、アナの入園によってお茶に替えられたそうです。
今まで道産子は、知らない人が何かを食べさせたり触れさせたりすると最悪の事態を招くかも知れないほどのアレルギーを持って産まれたアナを誰かに預けることなどしたことがありませんでした。
託児室なんかはもとより、お母さん(おばあちゃん)でも長時間面倒を見るのは怖かったみたいです。
エルサは小学校、アナもやっと幼稚園。
これで子供につきっきりのワンオペ育児で頑張ってきた道産子にも少し余裕ができるかなーと思っていた矢先…。
「愛情不足だった」と自覚
ある日、エルサが風邪で小学校を休んだそうです。
元気なアナだけを幼稚園に送って行き、
家でエルサの看病をする道産子…。
ごく普通の母子の光景ですが、この日のことがエルサには衝撃だったのです。
アナが産まれてからずっと、何かといえば道産子は アナ、アナ、アナ…。
エルサがまだまだ構って欲しい盛りだった頃から道産子のそばには常に「自分よりか弱い」アナがつきまとっていました。
ずっとずっと人知れず(もしかしたら自分でも気付かず)道産子に甘えることを我慢してきたエルサは、アナが産まれてから初めての「アナがいない」状況にタガがはずれてしまい、それからたびたび学校を嫌がるようになってきたらしいのです。
「アナが幼稚園に行ってる間はママと私の二人きり…ママは私のことだけを見てくれる…」
そしてそれは日々エスカレートし、ついには道産子が毎日泣くエルサを引きずって学校に連れて行かねばならないほどに…。
道産子が小学校の先生に今までの状況を話し相談すると、今はできるだけエルサの好きにさせてあげた方がいいでしょうと言われたそうです。
「赤ちゃん返り」に似た状況になっているみたいです。
だから学校に行きたくないって駄々をこねてもできるだけ怒らないようにはしてるんですけど…
アナはアナでアレルギーや喘息の症状で呼び出されることもしょっちゅうですし、
もう毎日しんどいです…
「愛情は上から下に流れる」という魔法の言葉
ジ子の産後入院していた時に、チョー子を取り上げてくれたスーパー助産師さんに言われました。
チョー子ちゃんは元気にしてるん?
2人目が産まれるとどうしても赤ちゃんの世話が大変で1人目のことがおざなりになりがちやけどな、
きょうだいは必ず上の子から褒めて、かわいがるんやで。
そしたら上の子が下の子をかわいがるから。
結局下の子をかわいがることと同じやから。
愛情は上から下へ流れて行くねん。
その時も感動して涙が出そうでしたが、道産子の話を聞いて改めてこの言葉の重さを思い知りました。
もしかしてアナが産まれた数年前に、道産子が、私が、この言葉を知っていたら…
今エルサは毎日笑顔で登校していたのでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。