2008年/フランス/監督:アルノー・デプレシャン/出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャン=ポール・ルシオン、マチュー・アマルリック、アンヌ・コンシニ、メルヴィル・プポー、エマニュエル・ドゥヴォス
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
いわゆる“ハリウッド的”な映画ではありません。
予想もしないタイミングで暗転したり、想像し得る心情とは正反対の音楽が突然流れたり(例:つらそうな人のBGMに陽気な曲)、日本人には馴染みが薄く少々難解なフランス映画です。
でもハリウッドにはない独特の雰囲気は癖になる。
“世界一の美女”カトリーヌ・ドヌーヴが難病を患う母親を演じたホームドラマ、【クリスマス・ストーリー】です。
映画【クリスマス・ストーリー】のあらすじザックリ
4人の子供に恵まれた夫婦を襲った悲劇
フランスのルーベという町で暮らす夫婦アベル(ジャン=ポール・ルシヨン)とジュノン(カトリーヌ・ドヌーヴ)。
ある日ジュノンが難病に侵されていることが発覚します。
タヌキみたいにちんちくりんのアベルといつまでも気品と美貌を失わないカトリーヌ・ドヌーヴ扮するジュノンが夫婦という設定もちょっとびっくりするんですけど、自分の体が病魔に蝕まれているというのにまるで他人事のように振舞うジュノンにも驚かされます。
いやそれ全部自分の身に降りかかることなんですけど?
ショックすぎて自分の置かれた状況を受け止めきれないにしても、その淡々と病状を語る姿はクール過ぎ。ジュノンだけでなく最愛の妻が死ぬかもしれない状況にあるアベルにしても割と冷静。
でもこれって実はこの夫婦の想像力が足りない訳ではなくて、かつて2人は最初の息子ジョゼフを同じ病気で亡くしているため、自分達もこの難病に罹患しやすいことが分かっていてずっと覚悟していたような感じです。
ジュノンが助かるためには骨髄移植が不可欠。ジュノンに適合する骨髄を探すため、アベルは子供や孫に検査を受けるようにお願いします。
アベルとジュノンには4人の子供がいますが、前述の通り長男ジョゼフは幼い頃すでに他界。
長女のエリザベート(アンヌ・コンシニ)は戯曲家として成功しているものの息子(アベルとジュノンの孫)のポール(エミール・ベルリング)が精神的に不安定で手を焼いてます。このポールが1人目の骨髄適合者。
2人目の適合者は次男のアンリ(マチュー・アマルリック)。アンリはジュノンとエリザベートと確執があり素行も悪く、6年前に一族から勘当されていましたが、これを機に恋人のフォニア(エマニュエル・ドゥヴォス)を伴って平然と実家に戻ってきます。
いがみ合うエリザベートとアンリの仲裁役になることも多い三男のイヴァン(メルヴィル・プポー)は妻のシルヴィア(キアラ・マストロヤンニ)との間に2人の息子を儲けています。イヴァン夫婦にはイヴァンの従兄弟で親友のシモン(ローラン・カペリュート)も同行。
奇しくも季節はクリスマス。
様々な問題を抱えた一族が、数年ぶりにアンリとジュノンの待つ実家に集まることになるのです。
クリスマスはあんまり関係ないかも
タイトルにがっつり「クリスマス」って入ってますけど、内容としてはあんまりクリスマス関係ないかも。
たまたまクリスマスが近い時期にジュノンの病気を機に一族が集まっただけ。別にこれが盆の集まりでも正月の集まりでもいいわけで。
親戚が集まってクリスマスパーティーなんて楽しそうで何よりって感じですけど、この家族のギスギスぶりったらない。
ジュノンは公然とアンリのことを嫌いだと言ってのけるし、エリザベートにいたっては同じ空間にいるだけでも具合が悪くなるほどアンリを嫌悪しています。しかも嫌っている具体的な理由は明かされない。
ポールは幻覚を見たりして一人でこの映画にホラー感を出してくるし。
優しいイヴァンだけはまともかと思いきや、妻のシルヴィアが親友シモンとベッドインしている現場を見てもスルー。おい修羅場カモン。
ジュノンが大病患ってる今、一番しっかりしていて欲しいアベルは傍観者を決め込んで頼りにならないし、骨髄移植後に突然ジュノンの病室を訪れたアンリはマスク越しでも分かるいたずらっぽい笑みを浮かべてコイントスで遊ぼうとジュノンを誘う。
テーマのぼやけたよく分からない群像劇ですが、フランス映画独特の雰囲気と昼ドラみたいにドロドロとした人間関係に引き込まれて最後まで一気に鑑賞してしまうこと請け合い。
しかもラストは期待したものとは全然違うというウルトラC付き。
クリスマスにギスギスするのは映画の中だけにしましょうね。
映画【クリスマス・ストーリー】の一言感想
コインの裏表はどないやってん。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。