1987年/アメリカ/監督:メナハム・ゴーラン/出演:シルヴェスター・スタローン、デヴィッド・メンデンホール、ロバート・ロッジア、スーザン・ブレイクリー
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
80年代って主演俳優のスター性だけに頼った内容のない映画が量産されてたような気がします。
洋画が隆盛を極めていた時代だったし、有名な俳優が出ていればそれだけで誰もが劇場に足を運んだものです。
今は単独で観客を動員できる大スターなんていませんもんね。【アベンジャーズ】みたいに徒党を組まないと勝負にならない。かといって内容が濃い訳でもない。
そりゃ若者の洋画離れも深刻化しますわ。
そんな今の洋画界の悲惨な現状など忘れさせてくれる主演のシルヴェスター・スタローンのスター性だけに頼ったツッコミどころ満載の名画(なんのこっちゃ)、【オーバー・ザ・トップ】です。
映画【オーバー・ザ・トップ】のタイトルの意味とあらすじザックリ
タイトル【オーバー・ザ・トップ】の直訳は「限界を超えて、目標を超えて」など。
トラッカーとして鍛え上げた肉体を持つリンカーン・ホーク(シルヴェスター・スタローン)は、アームレスリングを得意としていて、ラスベガスで行われる大会に出場した際インタビューにこう答えています。
戦う時は帽子を前後逆にするんや。
するとスイッチが入る。
まるでトラックと同じような…そう、機械になるんや。
戦うマシンと化したホークがトップギア以上の力を出そうとする時の信条なんですね。
映画【オーバー・ザ・トップ】のツッコミどころ
10年も息子マイケルをほったらかしてた理由が謎
マイケル(デヴィッド・メンデンホール)の陸軍幼年学校の卒業式に突然現れた父親と名乗るトラッカー、リンカーン・ホーク。
病床に伏すマイケルの母親クリスティーナ(スーザン・ブレイクリー)に頼まれてマイケルを迎えにきたんだそうです。
ホークは自分の「家」であり「すべて」でもある愛車のトラックにマイケルを乗せ、クリスティーナを見舞うため病院までの2~3日の旅路に出発します。
この子役の男の子、演技も上手だしすごくかわいいんですけど、この後の出演作が余りパッとしなくて残念。
…もしかして【オーバー・ザ・トップ】の不発が彼の役者人生にまで影を落とす結果になってしまったんですかね?だとしたら可哀想。
ホークとマイケルの車中の会話を聞いてびっくり。
今更なんなんですかあなたは!
10年間もほったらかしだったくせに!!
えっ?!
マイケルは12歳。
2歳の時に生き別れてたなら、今隣で運転してるオッサンなんか完璧に他人。
なんで?
どんな事情で生き別れちゃったワケ?
すんごい気になりますよね?
しかしなんと、ホークはマイケルを残して家を出た理由について最後まで明言を避けます。
うお~い!
12歳なんてもう大人のように扱ってあげなくちゃ。
理由があったならちゃんと教えてあげた方がいいんじゃねーの?
10年以上も確執があったジジイとの和解が謎
どうやらホークがマイケルを捨てて逃亡した理由のひとつには、名家のお嬢様であったクリスティーナの父ジェイソン・カトラー(ロバート・ロッジア)との確執があった模様。
ジェイソン爺はトラッカーで文無しであるホークを「ろくでなし」とか「負け犬」とか「ダメ人間」とか言って罵ります。
…しかしちょっと待って?
どれほど義理の父と仲が悪かったとしてもよ?
2歳の子供ほったらかして家も持たず金も稼がず自分の好きな生活してる風来坊ってそれ…
「ダメ人間」で正解ですよね?
ジェイソン爺は強ち間違っている訳ではない。
再会したマイケルに対して「いい子だ」と言うホークでしたが、一体誰がここまで大きく賢く健康に育ててくれたと思ってるんですかね?
誰のお陰であんなに立派な学校に通うことができたと?
こんな感じでわたし的には密かにジェイソン爺を擁護していたというのに、ジェイソン爺もジェイソン爺です。
ホークがラスベガスのアームレスリング大会で優勝しただけで、あっけなくマイケルを引き渡すんですから。
そんなことで10年の確執が消えてなくなるの?!
本質的にはその父親は何にも変わってへんのやで?!
腕相撲勝っただけやん!(禁句)
父親のホークも大概無茶苦茶
全編通してジェイソン爺が悪役として描かれますが、そもそもホークだって無茶苦茶。
ジェイソン爺に「マイケルには会わさん!」と拒否されるとトラックで屋敷に突っ込むわ、ジェイソン爺との約束を勝手に反故にして窓ガラスぶち壊すわ…。
そんなんやからマイケル取られるし「ろくでなし」とか言われんねん…。
こう言わざるを得ない。同情の余地なし。どっちもどっち。
大体クリスティーナとの結婚当初からジェイソン爺と確執があったとしても、10年も時間があったならどうしてもっとジェイソン爺が認めてくれるような偉業を成そうとか金を貯めようとか思わなかったのか。
「人生は自分でつかみとれ」とか言ってるけど、自分は何も結果を残してない。
10年経ってようやく成せた偉業と言えばアームレスリング大会で優勝したことだけ。
考えようによっては子供がこんな風来坊で無一文の父親の影響を受けることこそ悲劇。
「まぶたの父」としてマイケルの記憶の中でだけ輝いていた方がよかったかも。
筋肉バカの競演については好きずき
ホークが出場するラスベガスのアームレスリング大会は好みが別れるでしょうね。
テリー・ファンクをはじめ現役プロレスラーなどの筋肉バカがいっぱい出てくるんで、作中でマイケルも言ってますが、まあちょっとした“動物園”です。
彼らも自分たちが動物的であることを自覚しているのか、人語を話さず「うぉーうぉー」と吠えてる姿には爆笑を通り超して冷めた視線を送るしかない。
ホークと同じように自らを「精密機械」だという挑戦者もいますが、私に言わせればただの身の詰まったハム。
世界各国から集まったハムの競演はホントにすごい。
シルヴェスター・スタローンの歪んだ口元も相変わらずすごい。
参考 シルヴェスター・スタローンは出産時の事故により顔面の半分に麻痺が残っていて、口元の不自然な歪みがたびたびネタにされる。
余談ですがこのラスベガス大会でホークに敗れるまで5年連続優勝していたブル・ハーリー(リック・ザムウォルト)は大会前のインタビューで、
俺には優勝しかない。
2番は屁だ!
って言ってます。
結末を知っている2回目以降の視聴でこれを聞いて、
…ぷっ。
もうすぐ自分が「屁」になるとも知らずに…。
とほくそ笑んでいるのは私だけではないはず。
映画【オーバー・ザ・トップ】の感想一言
このレビューに書かれているツッコミはすべてネタ・私の愛です。
ゴールデン・ラズベリー賞も獲っていますがそれも映画関係者の愛だと思っています。
いまだに腕相撲をするとなると帽子を前後逆にするフリして「オーバー・ザ・トップ!オーバー・ザ・トップ!」って絶対言うてまうしね。
娯楽性に長けた超名作なんですよマジで。
参考 ゴールデン・ラズベリー賞=その年の最低映画に与えられる称号。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。