1935年/アメリカ/監督:サム・ウッド/出演:グルーチョ・マルクス、チコ・マルクス、ハーポ・マルクス、マーガレット・デュモン、キティ・カーライル、アラン・ジョーンズ、ウォルター・ウルフ・キング、シグ・ルーマン
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

チャールズ・チャップリンやバスター・キートンほどマルクス兄弟を好きではない私ですが、本日の映画だけは面白くて爆笑しました。
これが“最後の大物”と呼ばれた早世の天才アーヴィング・タルバーグのプロデュース力によるものなんだとしたら本当に凄い。
細かい説明は省きますが、この映画はマルクス兄弟がパラマウント社からMGM社へ移籍して初めての作品です。
この時移籍先のMGMにいたのが敏腕プロデューサー、アーヴィング・タルバーグで、彼はこれまで出る映画出る映画ナンセンス・ギャグだらけで好みが分かれるものばかりだったマルクス兄弟を正統派ラブストーリーの下地を持った映画に出演させることによって、より光らせることに成功しています。
アーヴィング・タルバーグの半生についてはロバート・デ・ニーロ主演で【ラスト・タイクーン】として映画化もされていますから興味のある方はご覧になってみてください。
ただ残念ながらこの映画はタルバーグのロマンスに重きをおいているため、彼の偉業について深く知ることはできないんだけどね…。
1976年/アメリカ/監督:エリア・カザン/出演:ロバート・デ・ニーロ、ジャック・ニコルソン、トニー・カーティス、ロバート・ミッチャム、レイ・ミランド、イングリッド・ボウルティング、テレサ・ラッセル、アンジェリカ・ヒューストン、ジョ[…]
マルクス兄弟の本領はこうやって発揮させればよかったのかと目から鱗のギャグ映画、【オペラは踊る】です。
映画【オペラは踊る】のあらすじザックリ
オペラ歌手同士の恋愛を成就に導くマルクス兄弟
さてはて、【オペラは踊る】がパラマウント時代のマルクス兄弟の映画と何がそんなに違うのかって言いますと、なんと【オペラは踊る】には、ストーリーがあるんですよ。
今まではなかったのかって?
う~ん…、少なくとも私は【我輩はカモである】も【けだもの組合】も、「コントを見てる」としか思えませんでした。すみません。
1933年/アメリカ/監督:レオ・マッケリー/出演:グルーチョ・マルクス、チコ・マルクス、ハーポ・マルクス、ゼッポ・マルクス、マーガレット・デュモン、ルイス・カルハーン、ラクウェル・トレス注※このサイトは映画のネタバレしよう[…]
【オペラは踊る】ではねえ、主役は当然チコ、ハーポ、グルーチョのマルクス兄弟なんだけど、物語のメインはローザ(キティ・カーライル)とリカード(アラン・ジョーンズ)という2人のオペラ歌手のロマンスなんです。

引く手あまたの人気歌手ローザと、実力はあるものの中々芽が出ないリカード。そしてローザに横恋慕するスター歌手ラスパリ(ウォルター・ウルフ・キング)。
こんな風に完璧に役者が揃った上で、彼らの周囲をマルクス兄弟がチョロチョロするという演出がなされています。
主役には絶対向かないグルーチョ・マルクス
放っておけば息つく間もなくオモロいことを言い続けられるけど全面に押し出すと収拾がつかなくなる芸風のグルーチョを、敢えてサブ(サブでもないけど)に持っていくだけでマルクス兄弟の映画がこれほど激変するものかと驚いたものです。
これまでの映画よりグルーチョの出番は減っているけど明らかに面白い。

しかもこれまではナンセンス・ギャグを連発するただの変態だったグルーチョが、ちょっとだけ人情に触れたりもする。
リカードと離れ離れになって落ち込んでいるローザに「特効薬や。効き目は二週間」と言ってリカードからの愛の手紙を渡すシーンなんてちょっと泣けるもんね。

よもやグルーチョの挙動で泣かされるとはよ。
定番のチコのピアノ演奏とハーポのハープ演奏の塩梅も完璧。

「マルクス兄弟最高傑作」で間違いないです。
映画【オペラは踊る】の感想一言

「ドリフターズ」で言えばいかりや長介に当たるマーガレット・デュモンの出番が控えめだったのが唯一惜しいところでしょうか。
グルーチョ・マルクスにけちょんけちょんにやられてはコッソリ肩をすくめるのが好き。
マーガレット・デュモンの方がグルーチョよりも8つも歳上で、私生活でもパートナーでも何でもないんだけど、2人の掛け合いは余りにも息ピッタリすぎるからいっそ夫婦であって欲しかったくらいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。















