1936年/アメリカ/監督:ロバート・Z・レナード/出演:ウィリアム・パウエル、マーナ・ロイ、ルイーゼ・ライナー、フランク・モーガン、ファニー・ブライス/第9回アカデミー作品・主演女優・ダンス監督賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

原題は【The Great Ziegfeld】…「華麗なるジーグフェルド」とか「偉大なるジーグフェルド」って意味です。ジーグフェルドってのは人名。
このジーグフェルドさんがまあ~浪費する。
とにかく稼ぐ以上に浪費する。
類稀な才能で人々を魅了し偉大な功績を遺しながらも、唯一の欠点は「堅実さを持ち合わせていない」ところ。
質素倹約なんて言葉、たぶんこの人は知りません。
19世紀末にアメリカのミュージカルの母体を作り上げた“レヴュー王”フローレンス・ジーグフェルド・ジュニアの半生を描いた映画、【巨星ジーグフェルド】です。
参考 レヴュー = 装置・衣装・照明といった視覚的な要素に重点を置き、音楽、舞踏、寸劇、曲芸などの演目を展開する大衆娯楽園芸。
映画【巨星ジーグフェルド】のあらすじザックリ
ジーグフェルドの2つの才能
シカゴで音楽学校を経営する裕福な家庭に産まれたジーグフェルド(ウィリアム・パウエル)は、幼い頃から広告宣伝やショーの世界に興味を持ち、成人すると家を出て欧米を渡り歩きます。
彼には生まれ持った2つの才能がありました。
舞台を華麗に演出する才能
1つ目は舞台を彩る演出家としての才能。
ジーグフェルドは初めてプロデュースした「ジーグフェルド・フォリーズ」というレヴューで大成功を収めます。そして瞬く間に19世紀末から20世紀初頭までのアメリカのミュージカルの基礎を確立していくのです。
中でも100人は超えようかというダンサー達がその上で踊る大螺旋階段が、ぐーるぐーるぐーるぐーると回転しながら徐々に姿を現す演出は圧巻!


カラーで観たい!
スターをプロデュースする才能
ジーグフェルドのもう一つの才能はプロデュース力。
例えば、後に彼の妻となる(実際は正式に結婚はせず事実婚であったようですが、作中では「妻」となっています)アンナ・ヘルド(ルイーゼ・ライナー)が「牛乳風呂に入って美容を保っている」と謳って世の女性達の話題をさらいスターにのし上げる、といった具合です。
スターの原石の才能と資質を見抜き、それぞれに合った売り出し方でプロデュースしていく才能があったのです。

ちょっとここで話題に上ったのでご紹介しておきますと、【巨星ジーグフェルド】で一番面白いキャラクターは、なんといってもこのジーグフェルドの最初の妻アンナ・ヘルドです。
今で言う「メンヘラちゃん」、もしくは「かまってちゃん」。
良くも悪くも、いつでもジーグフェルドのことばっかり考えていて、秒刻みで主張が変わります(別にジーグフェルドは何もしてない)。


いえ、来たところで会わないわ!
絶対許さない!

いいえ、やっぱり愛してるのよ、
フローが来たらすぐに教えて!
これには昔から彼女に仕えるメイドも右往左往。
手とかぶるぶる震えて瞳孔開ききっちゃって、ちょっとしたヒステリー症状のようなものでしょうか?
演じたルイーゼ・ライナーの演技がうますぎて怖おもろいんで必見です。
多額の借金だけを遺してこの世を去る
舞台公演には多額の資金が必要ではありますが、ジーグフェルドがショーをプロデュースさえすればどれもこれも大ヒットしていた時代。
ジーグフェルドが「身の丈に合った」暮らしをしていれば取り立てて生活に困ることはないはずでした。一生安泰だったはずなんです。

しかし冒頭に書いた通り、ジーグフェルドは生まれついての浪費家だったようで、2番目の妻で舞台女優のビリー・バーク(マーナ・ロイ)が止めるのも聞かず贅沢三昧。挙句に株の信用取引に手を出して世界恐慌で破産し、そのショックからか体を悪くしてそのままこの世を去ってしまいます。

病床で最期に「俺の人生間違ってたんかな…何も残らんかった…」とポツリとつぶやくジーグフェルドに対して、長年仕えた執事のシドニーが返したセリフがこちら。
目に見えるものや財産が何も遺らなくても、舞台に賭けたジーグフェルドはこれで良かったのかも知れません。
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いやええことないない!
本人はそれで良いかも知れませんが、ジーグフェルドの死後、2番目の妻ビリー・バークは多額の借金を背負い、その後も休む間もなく舞台に立ち働き続けたそうです。
…う~ん…。
映画【巨星ジーグフェルド】の感想一言
稼ぐ人って、稼ぐ以上に使いますよね…。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。