1939年/アメリカ/監督:フランク・キャプラ/出演:ジェームズ・ステュアート、ジーン・アーサー、クロード・レインズ、エドワード・アーノルド、トーマス・ミッチェル/第12回アカデミー原案賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
自然大好きの田舎者の青年が、いきなり上院議員になってワシントンで政治家になっちゃうお話です。
少々尻切れトンボな向きもありますが、フランク・キャプラ監督らしい実に夢のある仕上がり。
【スミス都へ行く】です。
映画【スミス都へ行く】のあらすじザックリ
リンカーン像を見上げる田舎者ジェフ・スミス
悪い奴がいますよ世の中には。なんか徒党組んでね。弱者を食い物にするようなね。政治の世界なんかそれが顕著ですやんか。
巨大な力に対抗しようとすると消されたりしますやんか。
田舎のボーイスカウトの団長で子供達から絶大な支持を得ているジェフ・スミス(ジェームズ・ステュアート)の、ジャーナリストの父親みたいにですよ。
すると当然、消されるくらいなら悪い奴らと同じように悪事に手を染めてしまおうって発想に行きつきますやんか。
親友だったジェフの父親と一緒に戦ったペイン上院議員(クロード・レインズ)みたいにですよ。
【スミス都へ行く】でどうしても私が注視してしまうのは、田舎から首都ワシントンにやってきてリンカーン像を見上げるジェフではなくて、このペイン上院議員の一挙手一投足なんですよね。
ペイン上院議員は、よくいるタイプの「昔は志が高かったけど今となっては権力におもねている」系です。
【トレーニング デイ】の汚職警官アロンゾ・ハリス(デンゼル・ワシントン)と同一系統。
でもアロンゾも言ってますけど、「羊のままでは狼には勝たれへん」のですよね。
弱者のままでは巨悪に立ち向かえない、と。
2001年/アメリカ/監督:アントワーン・フークア/出演:デンゼル・ワシントン、イーサン・ホーク、スコット・グレン、エヴァ・メンデス、トム・ベレンジャー/第74回アカデミー主演男優賞受賞注※このサイトは映画のネタバレしようが[…]
だからといって一緒に汚職に手を染めてどないすんねんって感じですけど、この問題の正解は「踊る大捜査線」の室井慎次(柳葉敏郎)なんじゃねーの?って思ったりします。
要は、自分が組織を変えられるほどの地位に就くまでは手段を選ばずひたすら出世しまくる。現場に信頼できる青島俊作(織田裕二)がいれば尚良し。あのバディは最強。
そして自分が頂点に君臨した時、改めて世直し改革に着手する。
これが最良策なんじゃないんですかね?
まだ下っ端の頃から安っぽい正義感振りかざしても誰にも相手にされないしね?少々悪いこともしつつ、ある程度の地位まで登り詰めないと、スタートラインにも並べない。
でも頂点へたどり着く過程で、誰もがもう取り返しのつかないくらい真っ黒になってしまうんでしょうねえ。
ペイン上院議員の燦然と輝いていた志もいつのまにか真っ黒になって、どこかに捨て去られてしまったみたいです。
ペイン上院議員の正義と悪の2つの顔を見事に演じ分けているのは、【カサブランカ】で話の分かるルノー署長を演じた無冠の名優クロード・レインズです。好き。
1942年/アメリカ/監督:マイケル・カーティス/出演:ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン、ポール・ヘンリード、クロード・レインズ、コンラート・ファイト/第16回アカデミー作品・監督・脚色賞受賞注※このサイトは映[…]
「議事妨害」ってナニ?
【スミス都へ行く】の見どころは、後半の議会でのジェフの孤独な戦い。
ジェフは自らの身の潔白を晴らすと同時にペイン上院議員らの不正を暴くため、なんと23時間以上も立ったまま演説を続けるのです。
政治のことなんてよく分からない私は、最初ジェフが何をやってるのかよく分かりませんでしたが、これってれっきとした“フィリバスター(議事妨害)”っていう戦術なんですってね。
作中で秘書のサンダースさん(ジーン・アーサー)がジェフに与えた助言によると、議会に出席した議員は、一度議長から発言を認められて起立すると、次に着席するまでは永遠に発言権が与えられるそうです。
そのルールを利用して、ジェフは「23時間以上も立ちっぱなしでしゃべり続ける」という抗議行動に出る訳なんですね。
ええそうです。
「議会を相手にたったひとりで戦う!」といっても内容はかなり地味。
大地味(醍醐味みたいに言うた)。
しかしジェフでもペイン上院議員でもサンダースさんでもなく、ひとり安堵の表情を浮かべる議長(ハリー・ケリー)のカットで終わるラストが非常に胸に突き刺さるので、私的にはアリやと思います。
映画【スミス都へ行く】の感想一言
議長はね、ジェフが議事妨害に出た時点からかなりジェフの肩を持ってる感じで、嬉しくなるんですよね。
あとほんの一瞬だけサンダースさんの婚約者だった新聞記者のディズ(トーマス・ミッチェル)も良い味出してる。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。