- ラブストーリー
- 2026年3月28日
1919年/アメリカ/監督:D・W・グリフィス/出演:リリアン・ギッシュ、リチャード・バーセルメス、ドナルド・クリスプ、アーサー・ハワード
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!

“アメリカ映画の父”と呼ばれたD・W・グリフィスと、彼が好んで起用した“永遠の女優”リリアン・ギッシュによるサイレント映画。
D・W・グリフィスといえば【國民の創生】や【イントレランス】ばかりが注目されがちですが、本日の映画はこれらの作品のように壮大なテーマを描いてはおりません。
本作で描かれるのは人種差別や家庭内暴力、貧困といった現代にも通じる身近な社会問題。そして若い男女の哀しい恋路。
こんな映画も撮れるんですよD・W・グリフィス。天才ですわ。
【散り行く花】です。
映画【散り行く花】のあらすじザックリ
仏教を広めるため中国からロンドンに渡った中国人青年は、厳しい現実に直面しスラム街で店番をしながら阿片を吸う生活を送っていた。同じスラム街で暮らす少女ルーシーは、ボクサーである父親バロウズから日常的に虐待を受けていた。ある日、父親からひどく殴られたルーシーは青年に助けられ、つかの間の安らぎを得る。
笑うことを知らないルーシーと阿片に溺れるイエロー・マンとアホのバロウズ
タイトル通りの「可憐な花」を思わせるリリアン・ギッシュが美しい映画です。白黒映画であってもその美しさが損なわれることはありません。
【散り行く花】でリリアン・ギッシュが演じるのはロンドンのスラム街で暮らす少女ルーシー。机と椅子、わずかばかりの食器が並ぶ棚とペラッペラのベッドが生活空間を圧迫する小さな自宅に、ボクサーである父親バロウズ(ドナルド・クリスプ)と二人暮らし。

この父親のバロウズはアホで、完璧にルーシーを虐待しています。怒鳴る殴る鞭打つは当たり前。極めつけは「笑え!笑わんかい!」と笑顔を強要。
幼い頃から笑うことを知らずに育ったルーシーは、バロウズに「笑え」と言われると自分の指で口角を吊り上げて無理矢理笑顔を作るのでした。

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むっちゃかわいそうやん!
そんなルーシーが買い出し中に街で出会ったのが仏教を広める夢を持って中国からロンドンへやってきたイエロー・マン(リチャード・バーセルメス)(※ホントは名前もあるみたいだけどタイトルにも“イエロー・マン”って書いてあるからそのまま記述)。
機嫌の悪いバロウズに今日もボコボコに殴られたルーシーは、イエロー・マンが営む雑貨店の店先で倒れてしまうんですね。ルーシーを見つけたイエロー・マンは彼女をお店の2階の自室に運び、かいがいしく世話を焼いてくれます。

ルーシーは生まれて初めて安らぎを知り、2人の間に淡い信頼と恋心が芽生えてゆくんです。
それなのにアホのバロウズがですよ。
アホのバロウズの激しい怒りが二人のささやかな幸せを引き裂き、物語は避けられない悲劇へと走り出してしまいます。アホのバロウズはルーシーが家を出て行ったことに加えて、よりによって中国人の家に匿われていたことがよほど頭に来たらしい。
アホやであいつ。バロウズ。

ルーシーを救ってくれるイエロー・マン。実は彼とて理想と現実の狭間で苦しみ、阿片の力を借りながら怠惰な日々を過ごしていたんです。ルーシーに出会うまでは。
夢も希望もなかった2人が出会い、お互いの傷と孤独を埋め合うように心を通わせてゆく過程は、派手な演出なんてなくても観客の胸を打ちます。
映画【散り行く花】の感想ひと言

現代の映画を見慣れている若い人には退屈に感じられることでしょう。
でも当時のゆったりとした街並みや暗い室内の映像は【散り行く花】の悲劇性を高めることに成功していますし、救いのないラストも現実味があって私は好きです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。



