2007年/アメリカ/監督:クエンティン・タランティーノ/出演:カート・ラッセル、ヴァネッサ・フェルリト、ゾーイ・ベル、シドニー・ターミア・ポワチエ、ローズ・マッゴーワン、ロザリオ・ドーソン、トレイシー・トムズ
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
前作【キル・ビル Vol.1】、【キル・ビル Vol.2】で大きく斜め上に逸れてしまった作風が、再び元に戻ってくれたような印象。
クエンティン・タランティーノ監督(以下、タラちゃん)らしさが復活してます。
【キル・ビル Vol.1】、【キル・ビル Vol.2】はもうね…ホント、タラちゃん遊びすぎなんで。
2003年/アメリカ/監督:クエンティン・タランティーノ/出演:ユマ・サーマン、デビッド・キャラダイン、ダリル・ハンナ、マイケル・マドセン、ルーシー・リュー、千葉真一、栗山千明、ゴードン・ラウ、マイケル・パークス、ヴィヴィカ・A・フ[…]
2004年/アメリカ/監督:クエンティン・タランティーノ/出演:ユマ・サーマン、デビッド・キャラダイン、マイケル・マドセン、ダリル・ハンナ、パーラ・ヘイニー=ジャーディン、ゴードン・ラウ、マイケル・パークス、サミュエル・L・ジャクソ[…]
相変わらず凄惨な場面はあるものの、女の子達が殺人鬼に復讐する爽快なラストは絶品。
そういう意味ではタラちゃん作品にしては珍しく男性よりむしろ女性の方が楽しめるかも?
【デス・プルーフ】です。
映画【デス・プルーフ】のあらすじザックリ
テキサス州オースティン
別荘で休暇を過ごそうとしているアーリン(ヴァネッサ・フェルリト)達4人の女子。
仲間の一人ジャングル・ジュリア(シドニー・ターミア・ポワチエ)は地元の人気DJで、その日の放送でアーリンの特徴を話した上で、“バタフライ”と彼女に呼び掛け詩を暗唱すればラップ・ダンスを踊ってくれると勝手に言ってしまいます。
アーリン達がバーで楽しく飲んでいる時、放送を聞いて声を掛けてきたのは顔に大きな傷のある愛想の良いおっさん、スタントマン・マイク(カート・ラッセル)。
アーリンは衆目の中マイクに魅惑のラップ・ダンスを披露します。
この辺りまでで多分映画の半分くらいだと思いますけど、ほとんどの会話や行動に意味も脈絡もありません。
70~80年代映画へのオマージュとしてワザと粗くしている映像もすんごいタラちゃんぽさ全開で、【キル・ビル】の後に観た時はマジでちょっと感動しましたよ。
もうこんなタラちゃん作品は観られないと思ってましたもんね。
…しかし色々探したんですけど、この映画の時代背景がよく分かんない…。
ジャングル・ジュリアがえらいアナログな携帯電話でメール送信してたりするんで、公開時と同じ2007年ではないと思うんですけど…90年代設定なのかな?
でもコンビニに並ぶ雑誌の表紙に2006年公開のキルスティン・ダンスト主演【マリー・アントワネット】が掲載されているところを見ると、きっと2007年で正解…。
粗い映像とレトロな車がバンバン出てくるせいで現代のパラレルワールドに紛れ込んだみたいな感覚になります。
ちなみにジャングル・ジュリアを演じたシドニー・ターミア・ポワチエはあのシドニー・ポワチエの娘っ子です。
1967年/アメリカ/監督:ノーマン・ジュイソン/出演:シドニー・ポワチエ、ロッド・スタイガー、ウォーレン・オーツ、リー・グラント、ラリー・ゲイツ、ジェームズ・パターソン、ウィリアム・シャラート、ピーター・ウィットニー/第40回アカ[…]
あとバーの店主ウォーレンがクエンティン・タランティーノね。
スタントマン・マイクの愛車
さて、スタントマン・マイクはラップ・ダンスを披露してくれたアーリンとその一行に別れを告げて、彼氏に約束をすっぽかされた女の子パム(ローズ・マッゴーワン)を送っていくことに。
俺の愛車は“耐死仕様”なんだ。
時速200キロでレンガの壁に激突してもまるで平気さ。
でもこの“耐死仕様”の適用範囲は運転席のみ。
助手席はクラッシュ・シーンを撮影する時などに使われる透明の壁に囲まれた箱になっていて(“クラッシュ・ボックス”ってんだって)、シートもなく椅子はといえばただの鉄の板。
この次のシーンを観るとシートベルトや車のシートそのものの大切さが身に染みるよホント。絶対装着ね。
これまで穏やかで親切だったスタントマン・マイクはハンドルを握るや豹変し、隣でパムが転げ回って流血しようが容赦なく高速走行急発進急ブレーキを繰り返す殺人鬼と化します。
“死の箱”とも呼ばれるクラッシュ・ボックスの中でパムが動かなくなったのを確認したスタントマン・マイクは、バーで別れたアーリン達の車を追跡し正面に回りノンブレーキで激突。
美しいアーリン達の体はズタズタに引き裂かれます。
タラってますねえ~。
これ教習所の教材ビデオとして使っても良いと思うわマジで。
アール・マクグロウ保安官の見解
凄惨な事故現場からたった一人生還したスタントマン・マイクの病院に現れる保安官のアール・マクグロウ(マイケル・パークス)とその息子エドガー・マクグロウ(ジェームズ・パークス)。
アール保安官の見解によると“殺人鬼”スタントマン・マイクが彼女達を殺した動機は「セックスの代替行為」だと言います。
女達は同時に「逝った」からな。
狂った野郎にとっては最高にヌケる瞬間やったやろ。
「逝った」と「イッた」をかけないでくださーい。
インポ(←予想)やからって罪もない女の子達惨殺しないでくださーい。
テネシー州レバノン
14ヶ月後、舞台はテネシー州レバノンへ。
とあるコンビニの駐車場で新たなターゲットをロックオンしたスタントマン・マイク。
さっきと同じような惨劇が繰り返されるのかと思いきや、後半に出てくる4人の女性は一筋縄ではいかない猛者ばかりでした。
(↓後ろに映り込む黒いTシャツ姿のスタントマン・マイク)
4人は映画関係者で、男勝りのスタントウーマンが2人、メイク係が1人、女優の卵っぽいチアガールコスの美女が1人。
中でも本人役で出演しているゾーイ・ベル(役名同じ・スタントウーマン)がすごい。
テコンドーの経験者でもあるゾーイは、ワーキャー言いながらガチのカーアクションと華麗な回し蹴りを披露してくれます。
前半の見どころがアーリンのラップ・ダンスなら後半の見どころは間違いなくゾーイのカーアクション。
この人すげーよマジで。
【キル・ビル】のユマ・サーマンのスタントも勤めています。
前半(いつも?)と同じように女の子達に対して優勢に「自慰行為」を終わらせられるはずだったスタントマン・マイクが返り討ちにあいボッコボコにされる姿は実に滑稽で爽快。
前半と同一人物とは思えないスタントマン・マイクの情けなさがたまりません。
一方勝った瞬間「きゃあ~っ!」と黄色い歓声をあげピョンピョン飛び跳ねて喜ぶゾーイ達の姿は大の男をボコボコにしてようが まさに女子。
図らずも「女子の仇を女子が討つ」ガールズパワーを象徴したこの構図は、#MeToo運動などで盛んに女性の権利が叫ばれている今のハリウッドだともっとウケてたかも知れませんね。
舞台が夜で、酒と薬でモヤがかかったような視界の前半はサスペンス・スリラー仕立てになっているのに対して、舞台が昼間で女の子達が体育会系である後半はコメディ・タッチのカーアクション要素が強くなります。勧善懲悪のヒーローものと言ってもいいかも。
それなのに前後半が違和感もなく融合していてめちゃ面白い。
映画【デス・プルーフ】の感想一言
テキサスからテネシーに切り替わる時に数分間画面がモノクロになるけど、この演出の狙いは何だったんでしょう…?
勉強不足で分かんねーわ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。