2000年/中国、香港、台湾、アメリカ/監督:アン・リー/出演:チョウ・ユンファ、ミシェル・ヨー、チャン・ツィイー、チャン・チェン、チェン・ペイペイ、ラン・シャン/第73回アカデミー撮影・美術・作曲・外国語映画賞受賞
注※このサイトは映画のネタバレしようがしまいが気にせず好きなこと書いてます!未視聴の方はご注意ください!
中国の映画の強みはやっぱり広大な砂漠や荘厳な建造物の映像と、派手なクンフー・アクションですよね。
この映画にはさらに、他に類を見ないほどのワイヤー・アクションが存分に盛り込まれています。
もう飛ぶ飛ぶ。
“跳躍”の方の「跳ぶ」って感じじゃないですもう、“鳥が飛ぶ”とかの方の「飛ぶ」です。
「jump」じゃなくて「fly」。
1本のしなる竹に2人の人間が「乗って」戦うという独創的な発想もスーパーアメージング。
こうなるともうアクション映画の域を出て完全にSFファンタジー。
笑える描写も多々ありますが、ほどほどに突っ込みながら観れば大して違和感はありません。
アカデミー賞4部門受賞の中国・香港・台湾・アメリカ合作映画、【グリーン・デスティニー】です。
映画【グリーン・デスティニー】のあらすじザックリ
名剣「碧銘剣(グリーン・デスティニー)」をめぐる4人の男女
剣の名手リー・ムーバイ
物語は剣の名手リー・ムーバイ(チョウ・ユンファ)が、武侠の世界に悲哀を感じ引退を決意したことから始まります。
ムーバイは武侠の世界から一切足を洗うため、自身の名剣「碧銘剣」を北京のティエ氏(ラン・シャン)の屋敷に寄贈することにします。
変な辮髪なのにこんなにかっこいい人も珍しい。
剣の名手ムーバイの鮮やかな剣舞は、演じたチョウ・ユンファ自身もその道の権威なのかと思わせるほど。
実際は特に修行してた訳でもないみたい…中国の人ってある程度は太極拳とかで「舞う」ことができるようになるんですかね?日本で言うたら多くの子供がスイミングスクールや公文式行くみたいに、少林寺とか習うのが普通とか?
女弟子ユー・シューリン
ムーバイと相思相愛でありながらギクシャクとした関係を続ける女剣士ユー・シューリン(ミシェル・ヨー)。
シューリンは昔ムーバイの親友スージョウと婚約していました。しかしスージョウはムーバイの仇敵によって殺されてしまいます。
それ以来ずっと共に戦っているうちに、今度はシューリンとムーバイの間に愛が芽生えましたが、スージョウを裏切ることはできない2人の関係は進展もないまま。
お互い求め合っているのに口に出せないこの2人の愛は、切ないけどもろくはない。剣士同士として完全に信頼し合っているのも分かるし、異性として絶対に愛し抜くという強い意志も感じ取れます。
一流の腕を持つ男顔負けの剣士シューリンの、ムーバイの前でだけ見せる「恋する少女の表情」が奥ゆかしくも実に艶やか。
後の宮廷警護長の令嬢イェン
「碧銘剣」が保管されているティエ邸の隣家に住む貴族のご令嬢イェン(チャン・ツィイー)。無鉄砲で後先考える思慮深さに欠けたただのバカ。
当時若手だったチャン・ツィイーは【グリーン・デスティニー】でハリウッドデビューを果たし、世界に知られる女優となります。
貴族の生活ってホント退屈う~…。
もうすぐ親の決めた許嫁と結婚せなあかんし、もうヤケクソやわ。
隣の家の名剣でも盗んだろ。
金持ちの道楽と言いますか、本人も何度も口にしてますが、イェンは完全に「お遊び」で「碧銘剣」を盗み出します。
賊に入るのは結構ですが、その時の変装、こんなんなんですけど…
絶対イェンやん!
しかしこの姿を見ても誰もイェンであることに気付かないというミステリー。
いやこんなもんに全力でツッコんでたら最後まで観られないんですよこの映画は。
終盤なんてもっとツッコむとこ目白押しなんですから。
砂漠の盗賊ロー
昔、イェン達一族が砂漠の荒野を旅していた時襲ってきた盗賊の首領ロー(チャン・チェン)。
護衛が次々と倒されて行く中、腕に覚えがあるイェンは戦場へ飛び込みローに挑みます。
ほらバカですねー。
全編を通して言えることですけど、どうしてイェンが理由もなくこれほどに暴れ回るのか動機が謎。
レールを敷かれた自分の人生を悲嘆してのことだとしてもやりすぎ。明日食う飯にも困る人だってたくさんいると言うのに、裕福な家に生まれて贅沢な生活をしてきておいて、知らない人と結婚させられるくらい何が不幸か。
暴れまわるじゃじゃ馬イェンとじゃじゃ馬を馴らしたローは激しく愛し合うようになります。
盗賊襲撃のどさくさで一族とはぐれてしまっていたイェンは、このままローと生きていきたいと言いますが、ローはそれを許しません。
こんな逃亡生活ではお前を幸せにできん。
親も大事にせなあかん。
盗賊から足を洗って職を持ち、必ずお前を迎えに行くから。
おや。
バカ娘が捕まえた男にしてはまともなことを言いますね。
こんな立派な男性がついていれば、あるいはじゃじゃ馬も素敵な淑女に成長することができるかも…。
イェンの結婚パレード
そうして一旦はイェンの前から姿を消したローでしたが、役人や市民も大勢集まり盛大に行われているイェンの結婚を祝うパレード(?)の真っただ中に颯爽と現れ、剣振りかざしながら言うことには、
就職無理やった!
イェン!
俺と逃げよう!
あ~…。
やっぱりこいつもアホでしたね。
逃げるにしたってせめて屋敷に忍び込んだ時に決行しときなさいな。こんな役人だらけの市中で暴れたら100%以上の確率で捕まるやん。
ラストでイェンが橋から飛び降りた意味は?自殺じゃないよね?
アホカップルはムーバイの配慮によりウーダン山で再会を果たすことができました。
たった一晩だけローとの幸せな時間を過ごしたイェンは、翌朝麓も見えない霧深い橋の上から身を投げます。
死んだ!
いや死んでないですね、これ。
荒野で愛を育んでいた時、ローはイェンにこんな伝説を話しています。
あの山から願いを込めて飛び降りたら願いが叶うんや。
飛び降りた人間もまったく無傷で生還するという。
イェンも飛び降りる前にローに「祈っててね」と言ってるんで、さしずめ「自由の身になって、ローと生きていけますように」とでも願ったんですかね。
イェンが飛び降りたあとにローがベソかいてるカットがあるんでちょっと解釈をややこしくしてます。
伝説を信じているならここで泣いたらいかん。
自分「信は真に通ずる」って言うてましたやん。
あんたが心から信じてなかったなら、イェンは麓でぺっしゃんこになっちゃってるかもよ?
映画【グリーン・デスティニー】の感想一言
イェンが飛び降りるシーンってあれ…
「北斗の拳」のエンディング「ユリア…永遠に」へのオマージュ確定やんね?(分かる人だけ分かってください)
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そんなあなたが大好きです。